「須田小『本の海』図書館」物語

須田小学校の学校図書館を改造しようと思ったワケ

◆図書室って、何のための部屋?  本を読むだけの部屋ではありません。

どの学校にも必ず図書室はあります。法律で学校内に設置しなければならないことになっているからです。でも、その割には使われてません。何故か?「メディアの多様化による子供の文字離れ?」でしょうか? 確かに、メディア(ゲーム)の魅力は大きいです。指の運動にも脳の活性化にもなりますから。

でも、それは、原因を外(自分以外のこと)に求める考え方です。これでは、現状を変えることはできません。

でも、子供が好みそうな本を絶えず準備し続ける余裕もありません。

そこで、「ないものねだり」より「あるものさがし」に徹することにしました。

▼バイバイ!「多すぎる本・高すぎる本棚」

平成28年度の図書室は、正に「黒い本の森」でした。須田小学校の図書室は普通教室を2つ縦に繋げた広さでした。ただ、中央に背の高い(約2m)本棚が、中央部に4台も設置されていて、部屋全体に暗さを与えていました。入り口が左右2ヶ所でしたが、一方から他方を見通すことができませんでした。また、本を日焼けから守るという理由で一日中カーテンをしいていたため、なお一層暗さを演出していました。

この4つの本棚を中央から壁側に移動させるだけで明るい印象に変わりました。本棚4台分の本の出し入れは大変でしたが。

 

 

 

 

(平成28年6月23日 随分、明るい雰囲気になりました)

▼「須田っ子の読書量を可視化」から解決策を工夫しよう!

本を借りる際、読書カードに記入していましたが、どれだけ読書をしているのか全体像はだれも分からなかったのです。その読書カードを見てまず驚いたのが、1ヶ月に1冊も借りていない(でも、朝読書ができた原因は後ほど)子供が実にたくさんいること!さらに、その読書カードすら見当たらない子供もいました。

まず「読書カード」をしっかり管理すること、図書委員会が毎月の委員会の際にしていた「読書調べ」のデータを全教教職員で共有すること、平成28年12月から、各学級担任が読書を勧める際の根拠データにすることにしました。

《学年別目標冊数の達成度》※低:100冊、中:60冊、高:40冊

平成28年12月14日(約40%弱)

平成30年12月20日(約70%強)

 

▼お宝の本! カンバーック!!

実は、それまで、毎年購入していた本を、各学級に分散していた。このようなことは、よく行われていますが。

これは、子供がすぐに本を手に出来るように、新しく購入していた本を、各教室に「学級文庫」としていたのです。一見、合理的なようですが、実はムダがいっぱいでした。第一、学級文庫にしてしまうと、他の学年の子供達は読むことができません。それに、2ヶ月ほどたつと、その学級文庫の本の位置すら変わらなくなります。学級文庫にして利便性を考えても、2ヶ月ほどで手に取って触られなくなってしますのです。

そこで、学期毎に教室にある本を図書室に返却してもらうことにしました。これだけでも、図書室に新しい本が増えた印象を受けました。図書室来校児童や貸出冊数も増えていきました。

▼異空間づくりへ!

さらに、従来の「1空間」の須田小の図書室を、「目的に応じた幾つかの空間に分かれた」ものに改造することにしました。平成29年5月の春の育友会の環境整備活動の時間を利用しました。図書室の壁に沿って置かれていた書架を、「空間づくり」のために移動しました。

 

 

 

 

それに先立ち(平成28年12月~平成29年3月)、ホームページ上に整備案をアップして人気投票、そしてパブリックコメントを募集しました。

 座卓コーナー(古い本棚を床に寝かせカーペットを貼り付けた物)
平成29年の5月の実施です。

 ★絵本よみコーナー(図書室中央部に6畳ほどのスペースを作り、発泡板とカーペットで作った物)

平成29年の6月実施しました。

 ★断熱遮光シート貼り付け(図書室を暗くしているカーテンを止め、特殊シートをはりました)

平成29年の夏期休業中の作業です。

 

 

 

 

 

 

 

 

▼「須田小学校図書室」から須田小学校「本の海図書館」への一歩

平成29年度の2学期、全校から図書室前廊下の掲示コーナーを、「わくわく」空間にするためのアイディアを全校から募集し、当時の6年生から1枚のイメージ画にまとめたもらいました。そして、鯨とイルカが広い海を泳ぐ姿を描いた壁絵が完成しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして完成!

本の海図書館と改名! (平成30年7月10日 須童朝会にて)

 

 

 

 

▼まだまだ進化中!

読書は、分厚い本をしかめっ面で読んで「あー面白かった」で終わることではなくて、本のページ数に関係なく、本の世界に浸って、「わたし」が本を読み終わった時、新しい「わたし」に気がつくことだと思います。

そこに、須田小学校の学校図書館を改造しようと思ったワケがあります。

ならば、新しい本も古い本もありません。「本が古いから読む気になれない」というのも、原因を「外」に求める考え方です。学校でも毎年(PTA育友会の協力も得ながら)本の購入を進めていますが、本屋さんにはかないません。だから、考え方を変えるしかありません。学校図書館は「貸本屋ではありません。」と。  

須田小学校の図書室「須田小『本の海』図書館」の整備が始まってから、3年目に入っています

今後は、子供たちが「本の世界を自由に泳ぎ回ることができる」図書館となるよう、さらなる進化を進めて参ります。