全国学力テストの結果を受けて

◆全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)結果から、学力全体の風景の見方

 7月31日、本年度の結果が一斉に発表されました。県別の平均点の順位(※)がこの時期のニュースになることが恒例になっています。しかし、前にもホームページでもお伝えしたとおり、平均点がそのまま、子供の平均像を表しているわけではありません。須田小では、もう少し、一人一人の個人レベルで、学力全体の風景を見ています。(個人の、各問題の正答・誤答と、意識調査の結果を比較検討:クロス集計)

◆須田小の全国学力テスト結果の見方

平均点のみ見れば、国語・算数の平均点は、非常によかったです。ですから、この結果を、平均像(個人レベルの平均点)に高めていくためには、全てが課題で「次の一手」も現在しなければなりません。今回は、「平均点」に絞って改善してきた点をお知らせするとともに、「平均像」をより高めるための基本的な考えについて述べます。詳しくは、2学期最初の学級だよりと学校だよりでお知らせします。

国語

自分の考えの根拠を、文章や表などから複数見付けてまとめる子供が多い。
学校評価アンケート(対話スキルの活用度)と同様の傾向を示しています。教科を問わず、授業の中で「どうしてそう思ったの?」と、根拠を言うことを意識付けてきました。今回の問題は、特に「複数の根拠」を示しながら、自分の考えをまとめる力があるか評価するものでした(※)平均点は高いのですが、「複数の根拠」を挙げずに「1つのみ」でまとめる点がまだ見られます。「自分の考え」のみに立って考えるところから、「相手意識」をもって考える力に高めていくには、今年度の須田小グランドデザイン(※)にも盛り込んだ、「多様な考えを、つなぐ働き掛け(収束)」のある授業づくり充実が必要です。2学期以降のチャレンジ項目です。

本や新聞を生活の中に取り入れている子供が非常に多い。
1学期の貸出冊数や学校評価アンケートと同様の傾向を示しています。読書は「ことばの量」を増やすとともに、「考え方の質」を高めます。自分とは考え方や行動をする「登場人物や筆者」の考えに触れることで、子供の「見える風景」を変えていきます。「~だからできない。~だめだ。」という「上手く行かない原因を外側に求める」マイナス思考から、「~ができるために自分(たち)はどうしよう!」という「上手く行かない解決策を自分の内側にもとめる」プラス思考に変えます。
自分の気持ちや考えを表す「ことば」と、表し方の「モデル」の宝庫、本と新聞を読むことと、特に、国語の正答数には、大きな重なりが見られました。

算数

学習してきたこと(自分の強み)を使って、問題を解くだけでなく、そのやり方を説明する力(活用・応用することにつながる力)が、非常によい。
>421ー298のひき算では、ひかれる数とひく数に、同じ数をたしてもひいても答え(差)は変わりません。この例ですと、(421+2)-(298+2)=423-300=123
このことを参考にして、わり算の計算の工夫について説明する問題です。ポイントは、同じ数をかけてもわっても答え(商)は変わらないことを使って説明することです。つまり、400÷25=(400×4)÷(25×4)=1600÷100=16 です。
なんでもないような問題ですが、実は非常に抽象度が高く、子供にとっては難解です。この問題に関わる学習内容は4年生時(※)に履修しています。でも、普段の学習で意識して使うことで、子供の身になります。これまで、家庭学習での「組み合わせ学習」や、自分のやり方を「説明し合う」グループ学習など、学習したきたことを「振り返る」場を大切にしてきました。
さらに、こんな授業をイメージしてください。友だちの説明で「よく分からない」ことを、「どうして?」と聞ける子供と「別の例で説明するね」「この式を図を使って説明するね」と、「相手目線」で考える子供がいる授業風景を。簡単なことではありませんが、「いつでも」「どこでも」「だれでも」できる小さな取組の積み重ねを大切にしていきます。

問題を解く際の「やり方」だけでなく、どうしてそうなるのか「意味」を考える子供が非常に多い。
学校評価アンケート(対話スキルの活用度)と同様の傾向を示しています。6年生算数学習では、問題を解く際に、グループでホワイトボード上で、それぞれの考え方を「見える化」する取組を続けています。これは、読書と同じで「考え方の質」を高めます。「自分の考えを、相手に分かってもらうために説明する」ことは、学習理解の強力な助っ人になることは分かっています(ラーニング・ピラミッド※)。
問題の解き方を言葉と式(算数の言葉)で表す「学習活動」と、算数の正答数には、大きな重なりが見られました。

◆全国学力テストの問題や結果は、以下のサイトで参照

国立教育政策研究所