「木を見て森を見る」教育を

4月で平成から、令和の時代へと移り変わります。連続する時間にはなんら断絶はありませんが、感情に生きる人間ですので、一つの「節目」を感じるのは当然だと思います。お休みがつづいているので、校舎に立ち寄ってみました。巡視をしながら、4月の一ヶ月を振り返りながら、頭の中を整理してみました。

「木を見て森を見る」 ~ すぐ見えることの背景にある見えない大切なことを徹底的にする

4月の学習参観の学校経営説明会の際に、いきなり先週18日の全国学力状況調査の問題の一部をしていただきました。びっくりされたかと思いますが…。落ち着かない説明で申し訳なかったのですが、お伝えしたかったのは、「木を見て森を見る」教育活動を大切にしていくということに尽きます。

小学校では、様々な教科の指導を行います。また、国語や算数など各教科の学習内容も様々です。その内容を一つ一つバラバラに教えていたら、子供も参ってしまいます。そこで、学習内容を関係付けながら指導することを意識することで、子供たちの理解を向上させることを目指しています。

つまり、それぞれの学習問題(木)はそれぞれ違うように見えても、それを解決するために必要な学力には共通なもの(森)があるはずです。それを繰り返し指導することで、確かな学力が身に付くのではないか?

◆国語なら、始めて読む長い文章でも、ほぼ「はじめ・中・まとめ」の三段構成になっていて、特に「中」の所には、「2つ程度の理由と具体例」が含まれいることを意識すれば、正確に読み取ることできることを、授業で意識して指導しています。

今回の全国学力状況調査の問題文は、三段構成で「書く対話スキル」と同様の文章の「型」で書かれています。このことは、小学校・中学校などの義務教育だけでなく、社会に出てからも大切な力です。ちなみに、本年度の高校入試問題(国語)にも、長い文章のおおよその内容を踏まえて(三段構成)、短くまとめる問題があります。

今後も、この文章の「型」ーはじめ・中(2つの理由と具体例)・おわり(まとめ)ーに当てはめて、文章を読み進める指導を進めてみります。
(中学校英語や英語検定でも、自分の考えを英作文することが重視されていて、同様の「三段構成・複数の根拠・具体例」の型が必要になる傾向が見られます。)

文章を読む(書く)、話す(聞く)は、物事を正確に理解し判断する上で、とても大切な力です。ですから、単に国語の授業だけやっていればいいわけではなく、あらゆる場面で(授業以外の場面でも)繰り返し指導をすることが、子供たちがこれからの社会を生き抜く力の土台を作る上で、とても重要なことであることがおわかり頂けると思います。

よく国語は「センス」ということをいう方がいます。「いい作文を書ける人」「すてきな話し方ができる人」は、だれでも近づけます。確かに全員を「有名な小説家」や「売れっ子ニュースキャスター」にすることはできません。でも、自分の考えを相手に誤解無く伝える力は、身に付けることができます。

そのためには、バラバラ学習(木を見て森を見ず)から、「シソーラス」学習(前に学習したことを組み合わせて考える、自分とは違う考えでも簡単に否定せず似ているところを見付ける等)へと、授業の作り方を変えていく必要があります。

平成の4月を振り返り、令和の5月以降にがんばる内容を説明させて頂きました。

※シソーラスとは、本来「類語」という意味です。英語圏を中心に海外では、本当の学力とは「同じ内容でも、少しずつ言葉を置き換え(シソーラス)しながら、伝える力としています」。言葉を置き換えたり、前に使った考え方を活用したりすることができるのは、自分の言っている内容を本当に理解していることを意味するからです。このような考え方から、須田小学校で大切にしてきて、これからも大切にしていく「森を見る教育」の一つとして「シソーラス」学習という言葉を作りました。