シャンパーニュ(Champagne)地区
シャンパーニュ地方はパリの北東にあり、フランスのぶどう産地としては最も北に位置します。シャンパンを造りはじめたのは17世紀以降のことです。シャンパンと呼べるのは、シャンパン方式でシャンパーニュ地方で造られたものに限ります
使用するぶどうの種類は、黒色系のピノ・ノワール、ピノ・ムーニエ、白色系のシャルドネと三品種限られます。多くの場合、黒ぶどうと白ぶどうを混合して造りますが、総じて黒ぶどうの比率が高いと出来上がるシャンパンはコクのあるしっかりとしたものとなり、逆に白ぶどうの比率が高い場合は、エレガントで軽やかなものとなります。
たぐい稀なワイン
栽培面積は34.165haと狭く、しかも気候条件が厳しく、年によって日照時間の変動が激しいため、収穫はときに奇跡的というほど限られてしまいます。
しかし、この厳しい条件のおかげで、シャンパーニュ地方のワインならではの独特の爽やかな風味が生まれるのです。
技が生んだワイン
シャンパーニュはさまざまな人間の才能のたまものです。伝説で僧侶達が発見したと言う製法は、異なる品種の葡萄、異なる畑、しかも収穫年の異なるワインをブレンドするというものでした。
17世紀末に確立したこの技術にはテイスティングの才能が必要で、醸造責任者の経験と嗅覚、味覚の記憶を駆使することが要求されます。こうして、独自の調和が生み出され、それぞれのメーカーの特色を決定づけています。
魔法の泡立ち
魔法のような泡立ち、決め細やかに立ちのぼるあの泡がなかったら、シャンパーニュはないも同然です。シャンパーニュの人々は初めはこの泡立ちに驚き、心を奪われ、それを何世紀もかけて思いのままに加減する方法を学んでいきました。
この珍しい天然の泡立ちは、きわめて涼しいカーブ(醸造蔵)の中でゆっくりと発酵をつづける酵母の働きによって、時間をかけて生み出されていきます。グラスに注いでからも気泡が何時までも立ちのぼり続けることは、もう一つの魅力的な謎となっています。
泡が次々と生まれ、天に呼び寄せられるかのように踊ったり回転したりしながら表面へと昇っていく様は、シャンパーニュという希有なワインの優美さと精神性とをあまさず象徴しています。
シャンパーニュの保存
シャンパーニュは丁度良い頃合に熟成させてから販売されますので、他のわいんとは違い、購入してから飲み頃になるまで待つ必要はありません。
しかし、購入したシャンパーニュはできれば飲む前に少し休ませてあげましょう。涼しくて、一定温度が保てる冷暗所に置きましょう。(日本家屋では押入れなどが最適です)すきま風や振動を避け、直射日光にさらさないようにして、コルク栓を乾かさないように、瓶は横に寝かせておくように心がけましょう。
シャンパーニュの種類
ノン・ヴィンテージ:年号記載なしのブリュットはメーカーの個性を最もよく表現するもので、普通は違う収穫年、違う畑のワインを調合して造ります。
ヴィンテージ:格別にすぐれた作柄の年に限り造られ、同じ収穫年の原酒だけで造ります。毎年造られるわけではないヴィンテージはとりわけすぐれたシャンパーニュです。
キュベ・スペシャル:ヴィンテージのものとそうでないものがありますが、いずれも極上の原酒のみを使ってブレンドした、いわば特級です。
シャンパーニュの分類
ボディーのシャンパーニュ:官能的で力強く、腰のしっかりした深みのあるタイプ。湿った枯葉やスパイス、赤い果物のような香りがします。
フォアグラや生ハム、ポトフ、または鶏料理とよく合います。
エスプリのシャンパーニュ:はつらつとして繊細、軽やかで、植物や柑橘類の香りを放ちます。
アペリティフに最適で、魚や海老、蟹などと相性がよく、シャーベットや冷たいデザートにもよく合います。
ハートのシャンパーニュ:コクがあって温かみを感じさせるとろけるような味わい、ブリオッシュやシナモン、蜂蜜の匂いが特徴で、ロゼやドゥミ・セックに多く見られます。
子羊や甘辛い料理、グラタン、ほんのり温かいタルトと相性がよく、ティータイムに頂くのもおしゃれです。
のシャンパーニュ:円熟した複雑で豊かな味わい、高貴で繊細はスパイスのブーケを持つタイプ。キュべスペシャル(作柄の良かった年にのみ創られるプレステージ・シャンパーニュ)や希少なヴィンテージものなどがこのタイプです。
このタイプは単独でその味わいだけを楽しむのみ向いています。