浜辺のちょっとした斜面でも、適度な風があればこんなふうにずっと浮いていられます。大きな山ならもっと高く上がれるのです。
 ハンググライダーもパラグライダーも、エンジンなどの動力を持たずただ滑空するだけです。ですからどんなに高性能の機体でも、おだやかな大気の中では確実に降下していきます。

   しかし大気は常に動いています。山に向かって風が吹けば、空気は斜面に沿って上向きに流れます。その斜面上昇風に乗れば、グライダーは飛び発った場所よりもずっと高く、何時間でも飛ぶことができます。

   そして上昇風は斜面がなくても発生します。太陽熱により暖められた地上付近の空気が かたまりとなって立ち昇る、熱上昇風(サーマル)です。熱上昇風に乗れば、グライダーは何千メートルの高さまで一気に上昇できるのです。

   斜面上昇風に乗って飛行を続けるリッジソアリング、熱上昇風に乗るサーマルソアリング。自然の力を利用して、ハング、パラはどこまでも飛んで行ける可能性を秘めています。

 現在ハンググライダーの飛行距離世界記録は 700キロメートルです!
 日本国内では 210キロを超える記録が出ています

 弥彦山からの距離記録では、117km(山形県川西町まで 2004年)という記録があります

 トンビがゆっくりと輪を描きながら飛んでいる様子を見たことがありませんか? それはそこにサーマル(熱上昇風)がある証拠です。注意して見ていれば、羽ばたかないのにだんだんと高さが上がっていくのが分かります。
 ハングもパラもそれと同じように、サーマルを捕まえて旋回しながら高度を上げます。眼に見えないサーマルにうまく入り込んで効率よく上昇するのがフライヤーの腕の見せ所でもあり、自然の力を利用して飛ぶ楽しさがあります。




 右の写真は、すべてパラグライダー。大きな大会になるとこんな光景も見られます。一箇所のサーマルにたくさんのグライダーが集まって、サーマルの形が目に見えるよう。
 サーマルは多くの場合、上空で雲を発生させます。だからフライヤーはいつも雲を気にしているのです。



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