トキ、試験放鳥に寄せて

平成20年9月29日 加茂法話会

 

1、9月25日午前10時30分、10羽のトキが放鳥された。27年ぶりに大空を舞う。

2、トキ放鳥までの経過

1931年2月佐渡で2羽の生息を確認

1952年3月国の特別天然記念物に指定

1960年5月国際保護鳥に指定

1967年11月新穂村(現佐渡市)にトキ保護センター完成。翌年、「キン」捕獲。

1981年1月佐渡で野生のトキ5羽を全鳥捕獲

1995年4月日本産トキ最後の雄「ミドリ」死ぬ。

1999年1月中国が「友友」「洋洋」を寄贈

5月国内初の人工繁殖に成功

2003年10月雌の「キン」が死ぬ。日本産トキ絶滅

2007年7月訓練のため、5羽が野生復帰ステーションへ。その後10羽を追加移送。

2008年9月10羽を放鳥。現在は122羽。

 

3、近辻宏帰さん(前トキ保護センター長、1967~2003センター勤務)との出会い

 「人間もトキもそのままで尊い命を生きているのですから」 1995年

 「初孫が、1999年、優優と同じ年に生まれた。娘夫婦がその息子に優帰と付けた」2003年

 「キンがいたから、ここまで来れた」 2004年(トキ交流会館館長)

 「是非、放鳥を見に来てください。」 2008年

 「寂しくなんかありません。希望を持って送り出した。トキを信じている。」

4、佐藤春雄(佐渡トキ保護会顧問)

 「なぜ、絶滅するとわかっている鳥を保護されるのですか」

 「私はトキを鳥ではなくて、一つの命だと思って活動してきた。人間だって死ぬとわかっている人を治療し、看病するでしょう。」

 

5、お互いは全部、赤の他人の寄り集まりではなく、一つの佛(佛宝)の現われとして、千差万別の姿をもちながら(法宝)、どうしようもなくつながっている(僧宝)。そしてお互い助け合いながら、大きな命を支えている。     (前花園大学学長 盛永宗興老大師)

 

6、峯の色 谷の響きも 皆ながら 吾が釈迦牟尼の 声と姿と      道元禅師

社明講演会に田上にこられて2003年

試験放鳥 9月25日

 

東龍寺住職 渡辺宣昭 合掌