中元とお盆そして施食へ

平成十九年七月二十日 於加茂法話会

 

一、 陰暦七月一五日。上元(一月一五日)・下元(一〇月一五日)とともに三元の一つ。半年の無事を祝い、盂蘭盆(うらぼん)の行事をし、死者の冥福を祈り、ふだん世話になっている親類・知人に贈物をする。転じて、中元の時期にする贈物。顧客先や世話になった人に対して行う。

 

中元は旧暦、またその前後に行われる。正月十五日を上元この日に、あずきがゆを食べると一年中の災いをまぬがれるとされた。

下元は陰暦一〇月一五日の称。

 

二、 中元に土地神が人間を検搜(けんそう)して善悪の分別をするのを餐応(さんおう)食べたり、飲んだりさせて罪を免れるようにした。道教の考え方。【贖罪】しょくざい金銭や品物を出して罪をまぬかれるように、終日庭で火を焚す風習。

 

三、

@贈答は祖先の霊への供物、また、共食するためのもの。

A生身魂(いきみたま)生存の父母、年長者、恩人等に贈り物習慣明治。

B中元の贈答は麺類が多いのは、収穫儀礼との結び付き。

 

四、 目連尊者の母「青提」・餓鬼道・救済・僧自恣の日「夏安居(ゲアンゴ)の終わりの日に、僧が集まって互いに罪を懺悔(サンゲ)しあい、訓戒しあう行事」百身の飲食等供養・三寶功徳・餓鬼道から得脱。

 

五、 とうけん【倒懸】@さかさまにかかること。ひどい苦しみ。

@布施→天上界、極楽、浄土 

Aワガママ(三毒・貪、むさぼる・瞋、いかり・痴、おろかさ)→三悪道(畜生・餓鬼・地獄)

 

六、 盂蘭盆会は、父母の孝順―設供―抜苦―報恩の構成になっている。

施餓鬼会は、餓鬼に対する設供―抜苦―福徳・長寿の構成になっている。(現在は施食会)

 

七、 施餓鬼会は、阿難の所に焔口餓鬼が現れ、三日の命、後に餓鬼道に堕ちる。枡で一杯づつ飲食を施し、我がために三宝供養すれば、汝も寿命を得、我も餓鬼の苦をマヌガレ天に生ぜん。その功徳によって餓鬼は天に生じ、阿難は寿命を増長。

 

八、 餓鬼を修することによって自らの福徳・長寿の現世利益が約束され、盂蘭盆会との習合により、現世安穏・後生善処、現世と未来の利益が同時に盂蘭盆大施餓鬼会こそ、佛教と民間信仰が追善供養の佛教的完成といえる。

 

九、 甘露の法会を修行し、父母の苦労の徳に奉答し、存者福楽をまして長生きし、亡者は苦を離れ浄土に生まれ、国土の生者、死者、生きと死生けるもの地獄餓鬼畜生の苦衆生共に懺悔を蒙り罪障を洗い尽く輪廻を出でて浄土に生ぜんことを。

 

正壽寺住職 呉 定明合掌