卍について

平成十九年二月二十二日 於加茂法話会

一、卍─十部 四画 総画数 六画

《音読み》マン邵モン邨バン邯 (去)願《訓読み》マンジ、 まんじ

《意味》{名詞}マンジ。万の字。仏書に用いる。▽旗じるしや記号に用いることが多い

《日本語での特別な意味》まんじ。づ卍の形や紋所。◆縦横に入り乱れるさま。

《解字》もとは逆卍の形で、インド伝来の吉祥の形「インドのビシュヌ神の胸のつむじ毛に由来する」魏の時代に「金剛万字」と呼び、それ以来、万と同じ発音になった。

〔仏教〕仏の胸・手足・頭髪などに表れた瑞相。仏心のしるしとして用い。

 

二、卍について 八十巻華厳経大方廣佛華嚴經卷第五十七離世間品第三十八

@卍字相金剛堅固勝藏莊嚴心。一切衆生數等魔來。乃至不能動一毛故。

A如來胸臆。有大人相。形如卍字。名吉祥海雲。

B諸佛。及諸菩薩。圓滿音聲。卍字等相。利益無量一切衆生。

C佛子。菩薩摩訶薩。在兜率天。將下生時。於卍字金剛莊嚴心藏中。放大光明。名無能勝幢。普照十方一切世界金剛力士。時有百億金剛力士。皆悉來集。隨逐侍衛。始於下生。乃至涅槃。是為第五所示現事。

D卍字之形。摩尼樹香水海雲。

E如白蓮華。文理迴旋(筋道がぐるぐると回る)。卍字成就。願一切衆生。

 

三、愈 葬儀に用いられる。昜 仏像点眼等に用いる。

愈 順卍字、世縁に随って衆生を教化する菩薩行。

昜 逆卍字、世縁を捨てて、自己を磨き探求する求道の姿を示す。

吉祥の相である。縦の一画は三世で時間を表し、横の一画は十方、空間を表す。

 

四、万徳圓満「諸佛如来大功徳 諸吉祥中最無上 諸佛倶來入此處 是故此地最吉祥」永平寺山門に

   晋山式

五、天蓋の正中に卍「迷故三界城 悟故十方空 本来無東西 何處有南北」

  葬儀式

この偈は「天一神」除けの偈文である。十二神将〕薬師如来の十二の大願によって、昼夜十二時を守る十二の神。吉凶禍福を掌る神。陰陽道で、天地八方を六十日の周期で八方を運行し、吉凶禍福をつかさどるという神。十六日間は天上にあり、己酉(ツチノトトリ)の日に天上から下り、東・西・南・北にそれぞれ五日、北東・南東・南西・北西にそれぞれ六日ずつ留まりながらめぐるといわれる。計四十四日地上に滞在し癸巳(ミズノトミ)の日から十六日間は天上にいる.この神のいる方角を「塞(フタガリ)」といい、この方角に向かって事をすることを忌む。又、この方角を避けることを「方違(カタタガ)え」という。中神(なかがみ)長神(なががみ)

 旅行やお遍路など方向が悪いと違う方向に一泊して寄ったり、出直した、所がこの偈文を笠に書いてもらうと災難除けになった。また、その笠を地面に置かないように大切にした。

正壽寺住職 呉定明合掌