お 袈 裟 を 縫 っ て

平成13年11月21日


1. お袈裟の意味と何の為に掛けるのか 
  お袈裟の事を福田という。田圃に種を蒔けば、秋に実りがあるように、仏に供養せば、必ず諸々の福報を受けると云う意味から、お袈裟の模様が田圃のあぜをかたどったから福田衣という。
 ビンビサラ王がお釈迦様を拝しようと王舎城を出て、はるかにお釈迦様らしき人を認め礼拝しようとした所、相手は違っていた。王はお釈迦様に、仏と弟子達か分かるように袈裟を着るようになった。
 南インドに行かれた時に田の畦畔(耕地の境のあぜ)が見事なので、このように長い布と短い布をつなぎ合わせ作るように阿難に指示した。


2. お袈裟を掛ける時に唱える言葉

 大哉解脱服(だいさいげだっぷく)大いなるかな解脱服、
 無相福田衣(むそうふくでんえ) 無相福田の衣、
 被奉如来教(ひぶにょらいきょう)如来の教えを身につけ、
 広度諸衆生(こうどしょしゅじょう)広く諸々の衆生を渡さん。

道元禅師が中国で坐禅をしている時に隣の僧がお袈裟を頭にのせ、合掌をして唱えていた。その時、今まで見た事がない有難いものを見た思いが起こり、歓喜は身にあふれ感涙が知らぬ間に流れて、着物の襟をぬらしていた。

以前にお経を読んでいるときに、「袈裟を頂戴するときの文句を」見たが、そのやり方ははっきりしなかった。それを目の前にして、心に思う事は、日本では、教える師匠もなく、進めてくれる友達もいなかった。前世の善根のおかげである。誓願を起こした。
 どうかして、私は不肖の身であっても、仏法の正統の後継ぎとして正法を正伝して、佛祖の袈裟と法を見聞させよう。
 あの時の発願が身を結び袈裟を頂いて身につけている在家出家の菩薩が多くいる。心から喜ぶべきである。                       道元禅師


正壽寺住職 呉定明 合掌