御開山忌・・・古きを慕い『今』を生きる

定光寺 乙川文英

平成十三年九月二十六日 加茂法話会

第二教区の御開山忌

毎年九月二十七・二十八日の二日間、第二教区(須田地区を除く加茂と川船・羽生田)の曹洞宗寺院十一ヵ寺合同の御開山忌法要が営まれます。今年の宿坊は川船の宗慶寺様。宿坊となったお寺にとっては、十一年に一度まわってくる大行事ですので、畳替えをし、建物の傷みを直すなど、ふだんより大きな境内・伽藍の整備を行なって御開山忌の日を迎えます。

御開山忌とは

この御開山忌は、曹洞宗の開祖である道元禅師様(高祖承陽大師)、四代目の禅師様である瑩山禅師様(太祖常済大師)のおふたり(これを両祖様といいます)の年忌法要です。道元禅師のお命日は建長五年(西暦一二五三年)陰暦八月二十八日、瑩山禅師のお命日は正中二年(西暦一三二五年)陰暦八月十五日。両日とも、今の暦に直すと九月二十九日になります。

御開山忌で営まれる法要

御開山忌に先立ち、加茂市内で托鉢が行なわれます。今年は九月十四日に行なわれ、たくさんの浄財をお寄せいただきました。

九月二十七日のお逮夜には、「逮夜法要」と「お施餓鬼」の法要が営まれます。「逮夜法要」は、両祖様に蜜湯をお供えする法要、「お施餓鬼」は、この御開山忌の法要にちなんで特にお施餓鬼の供養を希望された方々のために営まれる法要です。「お施餓鬼」の法要の後、両祖様の伝記の解説があります。

九月二十八日には、「報恩講式」「正当法要」「回向袋供養」の法要が営まれます。「報恩講式」は、両祖様の徳をたたえ、両祖様に対する感謝の気持ちを声明の形で表す法要です。「正当法要」では、「蜜湯」「ごはん」「お金」「お菓子」「お香」「お茶」をお供えし、お坊様方がひとりひとり焼香するという、とても丁重な法要が執り行われます。「回向袋供養」は、御開山忌にちなんで先祖供養を希望された方々のために営まれる法要です。「回向袋供養」の後、院内托鉢とお説教が行なわれます。

法事の意味

「まごころをこめておもてなしをする」ことにより、ほとけさま、御先祖様への報恩の気持ちをあらわすのがわが宗門における法事の柱です。ほとけさまや御先祖様がまさに今そこにおいでになると考えて心からのご接待をしてさしあげることこそ、法事のあるべき姿であると考えます。