入渓難問、
    命がけ!

 2002、9、22.(晴のち曇り)
 
 最近、休日と言うと雨ばかり降る。
 今日も午後から、崩れるらしい。

 早いとこ出かけよう、1時間半で Y沢 へ到着。
 すでに、数台の県外ナンバーの車が止まってる。
 たびたび雑誌にも紹介されるだけに、人気も高い。

 しかし20年前と比べると、渓谷も荒れ、
 その上、数年前から少し入渓が怖くなった。

 以前あった堰堤上に出る道が、ズタズタに崩れ落ちているのだ!
 この道が使えるのも、時間の問題で、
 村では復旧の義務は無いそうだ。
 
 なぜなら、業者の堰堤工事と、砂利採取道で、
 村道では無いからだ。

いつ落ちるか、わからない!
命がけだ!
ガラガラに崩れ落てる!
この、空洞の上を歩く。
まさに、キチガイ 沙汰だ。


  
 車止めから一時間弱で第三堰堤に到る。
 途中、行楽客4,5人を追い抜く。
 しかし、足跡はまだある。
 やはり先行者がいる。だんだん真新しい足跡になってきた。
 だが、雲行も怪しくなって来ている。
 

だんだん暗くなる。


 先を急ぐ、雨に降られると厄介だ。
 直角滝の所で空が真っ暗になった。
 「すげーやばい!」
 とりあえずサオを出すが。
 気も焦る!この暗い滝が、いっそう暗くなり
 今にも漆黒の滝壷の底から、龍か牛鬼が襲って来る気配が漂う!
 
 私は、この滝を高巻きにかかった。
 すると、どこからともなく。「なにやってるんだー」「危ないぞー」と、
 声がする。
 周りは山の樹木が、ざわめいてる。
 まるで何かを、告げようとしているがごとくに!
 突然!頭上を何かが飛んだ!
 
 見上げると、空は、ますます真っ黒だ!
 きっと、天狗か山の神が危険を知らせてるに違いない。
  
 私は早々に谿を駆け下った。

早歩きで、結構きつい。


やっとの思いで、第三堰堤に着いた。
一陣の風と共に、暗い景色が吹き飛んだ!

いつのまにか空は普通の曇り空に変わっていた。
またのどかな時が、おとづれた。


いったい今まで、どこに居たのだろう?

遠くで何かの声を聞いた。

いっせいに樹木がざわめいた。
                          




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