スクール生のためのコントロール・着地編

 ここでは 着地時のフレアとは何なのか、なぜ必要なのかについてだけ説明します。具体的な操作については、別ページ「フレアを決める」を見てください。

 フレアとは、着地寸前に機体の迎角を意識的に大きくして失速状態にする動作で、これにより機体の対気速度を一気に失わせることで安全に足で着地することができます。

 こちらに、ある上級機の性能曲線があります。速度によってどれだけ沈下するかをグラフにしたものですが、曲線の低速側が時速34kmほどで途切れている事に注目してください。つまりこれより速度を落とせば一定速度で飛んでいられない、失速して落ちてしまうことを意味しています。

 通常の滑空状態から徐々にバーを押し出していって失速させた場合、機体はすぐに下を向きながら急激に沈下します。そういう状態で地面に接触したら非常に危険です。グラフの機体を例にすれば、ランディングアプローチでだんだん地面が近づいてきて、減速するために ただダラダラとバーを押し出していったら、前進速度30キロ以上のままでノーズを下に向けながら地面に激突することになります。大ケガをするか、本当に運が悪ければ命を落とすでしょう。

 ですから安全に着地するためには完全に失速する前に一気にフレアをかけて減速しないといけないのです。確実に減速着地するには、フレア前のコース取り、フレアのタイミングや押し出し方といった一連の流れが重要であり、これらは全て機体の姿勢を静的に保つことが出来ない過渡的な状態での操作になるため言葉での説明は難しく、何回も練習して感覚的に覚えていってもらうしかありません。

 練習場では、練習機の失速速度はかなり低いですし、向かい風が助けてくれるし、セイフティホイールもあるのであまり危険を感じないかもしれません。しかしそれに甘えていつもいい加減なランディングばかりしていたら、じきに後悔することになります。高高度を飛ぶようになったら、もう毎回が実戦です。ランディングの風は自由には選べません。正しい判断でアプローチしたつもりでも急に風向きが逆になることさえ有り得ます。その時にしっかりしたフレアが出来なかったら、低速性能の良い練習機であっても危険な状況になりかねません。また初級機から次の機体へ乗り換えれば失速速度は確実に上がりますから、確実なフレアが出来なかったらまた危険が増します。ですから安全な環境で何回も練習できる今のうちなのです。着陸はきちんとフレアで減速して降りるものだという意識を明確に持って練習してください。

 フレアは安全な着地のために必ず出来なければいけない、練習生の最重要課題です。練習場では必ず毎回ちゃんと足だけで着地できることを目標に、1回1回を反省し、感覚を磨くように練習してください。



2011/10 改

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