効率の良いテイクオフ

 短いランチャーで確実にテイクオフするための注意点について考えます。スタ沈しないためにも大事なことです。

 テイクオフの基本的な流れや注意点は別ページの「スクール生のためのコントロール 前後編」で説明したとおりですが、その操作をより短い距離で完了するための主なポイントを、
 ●可能な限り、走り出す前から浮くための準備をしておくこと
 ●可能な限り、急激な加速をすること
この二つとして説明します。


●走り出す前から浮くための準備をしておくこと

 機体が効率よく浮くためには迎角が最初からニュートラルに保てていれば理想的です。そしてパイロットはスイングラインで吊られて機体に持ち上げられるわけですから、最初からスイングラインが張っていれば効率的です。これらは走り出す前から準備しておける事柄です。

 本来ニュートラルの迎角は機体が実際に風を受けて浮かなければわからないものですので、走る前はおおよその見当をつけて構えます。それが実際のニュートラルに近いほど効率良く機体を浮かせられますが、せっかく良い角度で構えたのに、走り出すと同時に角度を変えてしまう人がいます。
 腕力不足や迎角への意識不足のためにノーズを上げてしまうことがないように。上げすぎて失速する角度にしてしまうと、機体はただのエアブレーキになってしまいます。
 また両足をそろえた直立姿勢から身体ごと前に倒れこむように走り出す人は、身体と一緒にノーズを下げてしまわないように。下げすぎれば機体はいつまでも浮かず、速度を欲しがってパイロットが置いて行かれます。そうなるとパイロットが機体を後ろに引っ張ることになり、結局十分な加速ができなくなります。
 ですので身体は前に倒れこんでも機体の迎角は変えないように意識的に調整する必要がありますが、そもそもこの走り方はお勧めできません。それについては後述します。

 次にスイングラインを張っておく事ですが、張るためにはアップライトの低い位置を持って、機体を最初から高く構えるということです。このようにすると肩がアップライトから完全にはずれて、腕の力で機体を支えることになります。腕力が要りますがほんの数秒間ですから、できる人はこのようにやってみてください。場合によっては機体を高く構えてもスイングラインが張らないこともありますが、それでも少しでも高く持ったほうが効率的です。でも腕力が足りず迎角の維持が不安定になるなら無理せず普通に肩の近くでアップライトを支えましょう。


●急激な加速をすること

 「そんな無茶な」と言わないでください。重要なことです。
 練習生は、ゆっくりと走り出して、徐々に強く加速していくように教えられます。それは急激な挙動で機体の姿勢を変化させないようにするためです。しかし失速速度の速い上級機を短い距離で確実に浮かせるためには、そんなのんびりした加速はしていられません。多くのスタ沈は十分な速度を得られなかったせいで起きます。上級機であるほど、より急激な加速が必要なのです。

 ではどうするか。簡単な事です。普通に走る競争をする場合のスタート前の姿勢を思い浮かべてください。両足をそろえて直立して構えている人などいません。必ず脚を前後に開いて腰を落として構えるはずです。脚力を活かして一気に蹴り出して加速するために、その姿勢が適していると誰もがわかっているからです。ハングのテイクオフでもそれと同じようにすればよいのです。

 実際その姿勢からの加速は、直立状態から走り出すよりも明らかに強力に加速できます。最初のこの蹴り出しによって、その後に続くランチャー斜面を走る動作は自然に大きな歩幅になり、ラクになります。早い段階で機体が浮けば、操作全体も余裕ができてラクになります。

 このやり方に変える事によるリスクは何も有りません。心配ならまずゆるく蹴り出してみれば良いのですから。ただその加速でノーズが上がらないように手先でアップライトをしっかり抑えながら走り出せばよいのです。そして、ノーズを抑えられる限り、あとはあなたの脚力次第でいくらでも急激に加速できるのです。やってみてください。



 以上の要点を突き詰めていけばテイクオフは短い距離でも確実に出来るようになるでしょう。これらの要点以前に、走りながら左右の傾きの修正ができることも大事です。操作に自信がないなら積極的に練習場に戻ってやり直すことも考えましょう。



2014/05 改

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