報恩

ニューヨークテロ事件があって、十八日後、瓦礫の下から一匹の母猫と、三匹の子猫が救出されました。母猫はナプキン箱の中で子猫を出産し、濁った水を飲んで子猫を育て生きつづけていたそうです。

子供の時の記憶は、もうほとんど無くなってしまいましたが、このニュースを見て照らしあわすところ、親の恩を感じざるを得ませんでした。そして、その親にもその親がいて、その親にもまた親があるのです。さかのぼると、何処までさかのぼるのでしょうか。

四恩

大乗本生心地観経の説く、父母恩、衆生恩、国王恩、三宝恩の四種をいう。

大意

父母の恩: 親への恩

国の恩: 私達が住んでいる国への恩

衆生の恩: 生きとし生けるものすべてに対するものへの恩

三宝の恩: 仏法僧への恩

唯当に日日の行持、其報謝の正道なるべし、謂ゆるの道理は日日の生命を等閑にせず、私に費さざらんと行持するなり。(修証義第二十九節)

大意

恩に報いると言う事は、毎日の生活に、そのこころを奉じ、あやまりのない行動をし、日常生活の中にそのこころを実践し、私利私欲のために行動しない。

自分が生きるのも背一杯の瓦礫の中で、身を削り三匹の子猫を育てた母猫に、学ぶものを感じました。

長岡市 慶徳寺徒弟 金子重典 合掌