『はじめまして赤ちゃん』

平成十三年八月二十一日 加茂法話会
  1. 平成元年十月十一日、私のたった一人の姪素子のお誕生日です。

    この子は生まれたとき980gしか体重がありませんでした。

    何ヶ月も保育器の中で生活しておりました。

  2. 私が初めて会ったのは、翌日十二日でした。

    はじめから最初にかける言葉を「はじめまして○○ちゃん」と決めていましたが、まだ名前が決まっていなかったため「はじめまして赤ちゃん」と声をかけました。

    新しい命の繋がりに、私は戸惑いを感じました。

  3. 赤ちゃんは、母親の妊娠中毒症のため二ヶ月早い誕生を迎え、医師には「目は見えないかもしれない」と宣告されておりました。私の家族にとってはこの子の命が育って行くことが、初めての共通の祈りになりました。

  4. 私達の命は、こうして家族を始め大勢の人に育まれてきたことを改めて実感させられました。

  5. 道元禅師様は、「正法眼蔵・生死」の中で「この生死はすなわち仏の御いのちなり。」とお示しになっておられます。

    私達のいのちは、人間の思いやはからいでは、どうしようもないものであると言うことです。

  6. 縁あって頂いた、いのちの尊さをどうにか感じていただきたいと思います。

見附市 天徳寺 副住職 中野尚之 合掌