願って生まれる

平成十六年十七日 加茂法話会

一、願生此娑婆国土し来れり  (修証義第五章、二十六節)

  私たちは「偶然にこの世に生まれてきた」のではなく、「自ら願いこの娑婆国土(地球)に人間として生まれてきた」

 

一、四十六億年前地球が誕生。人類ホモサピエンス、二十万年前誕生。

地球の誕生から現在までを一年とし、元旦からスタートすると

人類の誕生は、 ?              十二月三十一日午後十一時三十七分

私は四十八歳ですが、  ?          0.33

百四歳の永平寺禅師様は、 ?        0.72

生命が陸に上がったのは、三億六千年前 ?  十二月三日、

 

一、大いなる命、生きようとする命

四百キロ以上の隕石が八回は衝突。衝突点は四千から、六千度。岩石蒸気。

全海洋蒸発で、太平洋大西洋も干上がる。ところが、生命は、地中深く生き延びた。

この遺伝子を私たちは、受け継いでいる。

 

一、この大いなる命は、時には、大きな障害を伴うものであったり悲惨な境遇であったりもするが、どのような障害に出会おうとも、自らの意志や努力で乗り越えていけるだけの能力も初めからいただいて生まれてきている。ただし、それは決して余人が「こうあるべきだ」と決め付けられるものではない。

  自らが選んで生まれてきたことが信じられると、自分を取り巻く状況が大変であればあるほど、それに自らチャレンジするこの命は大変に尊くすばらしいと言える。

 

一、この子と生きる〜ダウン症・命の記録 NHKスペシャル 四月二十四日放送

ダウン症は、出生児の中ではもっとも多い染色体異常で千人に一人と言われている。

加藤秋雪君(六歳と二ヶ月)、平成四年十月十九日生まれ。

この親となら何とかやっていけると信じて私たちのところへ生まれて来たんだろう。そんな秋雪に きちんと向き合わなければ失礼だと思った。

 

一、「ようこそ この世界へ」 玉井邦夫(日本ダウン症協会)     裏参照

お誕生おめでとう

初めて見る世界はまぶしいでしょう。

今、お母さんのお腹の中から出てくるという大仕事を成し遂げて、安心して眠っているのでしょうか。

あなたにはダウン症という形容詞が与えられることになるでしょう。

あなたにはまだ分からないだろうけど、世の中の人たちは、

知的障害とか、かわいそうな子とか、不幸な子なんていう言葉を重ねたりします。

だから、もしかするとあなたのお母さんは今ごろ、声を殺して鳴いているかもしれません。

お父さんはそんなお母さんにかける言葉もなく、立ちすくんでいるかもしれません。

もしもあなたがたった今しゃべることが出来たとしたら、こんなふうに言うかもしれません。「やめてくれよ、どうして僕が私が生まれるとみんなが泣くのさ」

でも私たちはそんなあなたに心から「ようこそ」と言います。

私たちは、あなたと同じダウン症の子供との出会いを通して、人は必ず誰かに支えられて生きているのだということを学びました。

あなたと同じダウン症の子どもと暮らす毎日を通して、だれにでも誰かをすくう力があるのだとということを信じられるようになりました。

そして、ダウン症の子どもなら生まれてこないほうがいいと思っているたくさんの人たちに、私たちの暮らしがどんなに私たちの暮らしがどんなに普通の暮らしなのか知ってほしいと強く感じるようになりました。

あなたのお母さんは今も泣いていますか。

お父さんは今も困り果てていますか。

私たちは自信を持って言うことが出来ます。

あなたがダウン症だと聞いて涙を流したり、言葉を無くしたりするのはただただダウン症のことを知らないからだけなのだ。

あなたの名前はなんと言うのですか、なにも知らない人たちはあなたのことを知的障害児と呼ぶのでしょうね。

ちょっと理解している人はダウン症児と呼ぶでしょう。

でもそれはどちらも違います。

あなたはあなた。あなたは自身の名前を持ったただ一人のかけがえのない人。 

そのことを知っている人たちはあなたのことを名前で呼びます。

今私たちは心から呼びかけます。

これから何人もの人たちに勇気を授けてくれることになるあなたへ。 

お誕生おめでとう。ようこそこの世界へ。

 

一、私たちのおかれてる現代、年間三万人以上の人が自殺をしている状況がある。

  阪神大震災が一年の内に、国内で五回発生。広島型の原爆が五、六年に一回。

もし今が、自分を取り巻く状況が大変に辛いものであったり、不幸な出来事、あるいは大変な病気に遭遇なさっておられるようでしたら、「自分はこの難しい応用問題に取り組むに足る存在なのだ」同時に「自分に絶対解ける問題なのだ」と強い確信と誇りをもって、それぞれの許される状況において果敢にチャレンジしたいものです。       

東龍寺住職 渡辺宣昭 合掌