向きあう・伝える・支え合う

加茂法話会 平成二十三年十二月二十日

一、日本漢字能力検定協会(京都市下京区)は12日、2011年を表す漢字は「絆」と発表した。清水寺の森清範(せいはん)貫主(かんす)が揮毫。

全国から過去最多の49万6997通の応募があり、「絆」は最多の6万1453通(12.4%)だった。2位は「災」、3位は「震」と続いた。

 

二、曹洞宗では、二年前から、絆をテーマとし布教教化に勤めてきました。

  今年は、「向き合う」「伝える」「支え合う」という三つの柱を立て、四摂法の「利行(利他行)を布教テーマとしました。

 

三、「利行は一法なり、あまねく自他を利するなり」        道元禅師

 

四、N氏との二十数年ぶりの再開

■十六日に、N氏よりの突然のメール 題が「一期一会」

「大変ご無沙汰をしております。ますますのご健勝心からお喜び申し上げます。小生も元気でと申し上げたいところでしたが、昨年の暮れに胃ガンに罹り一年間治療を続けて来ましたが、ついに薬石効無く末期癌の状態で、残され時間は僅かとなりました。今日は今生のお別れのご挨拶をさせて頂きたく、突然こんなメールお送りさせて頂きました。拙い辞世の句詠んでみました。御仏の加護に抱かれ行く空に旅の支度は整えり。益々の御活躍を。 N拝」           

■翌日、伯母と一緒に長岡の病院へお見舞いに行く。

とても懐かしいひと時を過ごすことが出来た。

特に、伯父の思い出の話は今ここに生きているような情景が浮かんできて、うれしかった。

■その晩のメール

「本日は大変お忙しい中、また足下の悪い中、私のためにお出かけを頂き更に過分なお見舞い頂き感謝の言葉も有りません。有り難御座いました。お陰様で楽しい時間を過ごさせて頂き、元気と勇気を一杯頂きました。この先の事は誰にも分かりませんがもう少し力一杯生きて行きたいと思っています。渡辺様におかれましても御健康に留意され益々の御活躍を御祈念申し上げます。伊比様にも宜しくお伝え下さい。 N拝」   

 

五、自分の幸せだけを考えず

  自分の生きていることが人の幸せにつながるよう

  他の幸福のために奉仕しましょう。

  そういう生き方こそ、生きる喜びを感じられます。     瀬戸内 寂聴

 

六、向き合う=あなたと向き合う

伝える =あなたと正しい教えを伝え合う

支えあう=あなたと共に支えあう

東龍寺住職 渡辺宣昭 合掌