好箇の翻身の時節
平成十四年四月十七日 加茂法話
| @ | 病がまた 一つの世界をひらいてくれた 桃咲く |
| 坂村 真民 | |
| A | 全禅人の子を亡ずるを訪(とぶ)らう 全居士の子どもが亡くなりお悔やみに訪問 |
| 正眼(しょうげん)を挙開して瞳児(とうじ)を現ず (まさしく眼を見開けば、瞳の中に死んだ幼な子が現われる) |
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| 漠目(ばくもく)観(み)来れば涙露移る (ぼんやりした目で見れば、涙が露のようにとめどなく落ちる) |
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| 好箇(こうこ)の翻身(ほんしん)時節至れり 心が悟りに飛躍する良いチャンスが熟した(だが全禅人よ、仏道に入るにまたとない転身の好機が至ったのだ) |
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| 閻老(えんろう)をして等閑に知らしめること莫(な)かれ 悲しみの迷い煩悩にとらわれている事を、閻魔様に不注意に知られないように悟りの目で泣き子を包んでやってください。(嘆いてばかりいて、閻魔王にうっかり知られて業を重ねてはならぬ) |
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| ( )内は鏡島先生訳 中野東禅先生訳 道元禅師『永平広録』第十巻 三二 |
| B | 銘 曰 |
| 廣 林 紺 苑 | |
| 志 慕 古 風 | |
| 殿 鐘 新 鑄 | |
| 聲 韵 無 窮 | |
| 永 平 後 堂 祖 芳 衲 應 需 撰 書 |
C 『忍び難きを能(よ)く忍び、行じ難きを能く行ず』(達磨大師)