■照光殿(一階大広間 二階坐禅堂)建立の縁起

  昭和五十九年春、私が永平寺より、修行から帰ったとき、東龍寺では、亡き師匠『廿二世天盈昭光(てんえいしょうこう)大和尚』が先頭となり、長年の懸案であった本堂屋根替え(トタン葺き四つ屋根を銅板入母屋へ)土台挙げ工事がまさに始まらんとしておりました。師匠と二人で、まもなく取り壊される本堂とその左脇の古い禅堂(正式の坐禅堂ではないが、小僧さんが生活できるような建物)を見ながら、師匠が「いずれ、禅堂も建て替え、立派な坐禅堂を造りたいものだなあ。」と私に語りかけたのが、この一大誓願の発端でした。
  そして、檀信徒の意を結集し、平成十年十月起工、十一年五月上棟、同年十一月完成し、坐禅堂を蟠龍窟(ばんりゅうくつ)と御命名いただいた大本山永平寺貫首宮崎奕保(えきほ)猊下(げいか)を拝請し、十二年四月三日落慶法要を迎えました。

■照光殿と命名した由来

  由来は、師匠である父の名『天盈昭光大和尚』から頂き、私たち一人一人に備わっている仏様のような慈悲心に気づき、その温かい自らの光明を照らす所という意味です。広く解釈していただけば、我々を温かく見守ってくださるご先祖様と寸分違わない私たちの心に気づきそれを実践する力をいただくところということになります。

■「黙照光明(もくしょうこうみょう)」

また、一階大広間正面には、宮崎禅師様より「黙照光明」御揮毫(きごう)いただき、掲額。
「黙々として自己の光明を照らす檀信徒会館」 多くの人達が真実の仏法に出会い、真実の幸せを得る場所。


蟠龍窟の扁額

■蟠龍窟(二階坐禅堂)と命名した由来

宮崎禅師様に二階の坐禅堂にふさわしい名をお付けいただけませんかと願いましたところ、『蟠龍窟』と命名頂きました。檀信徒の皆さんと意を一つにして、龍がひそむが如く、和合して坐禅をするところと言う意味です。

  平成十年に、講演に来られた松原泰道老師が、「先祖は、いい人ばかりではない。石川五右衛門のような先祖がいるかもしれない。だから、私たちが善いことをして、ご先祖の間違ったことを修正することができ、善いことをすることによって自分の心も耕すことができる。それが子孫に良い種を蒔いていくことになる。過去は、取り返しがつかないけれども、見直すことができる。」と私たちの今の生き方の大切さを強調されました。
  私自身、照光殿の建立は、亡き師匠・天盈昭光大和尚の遺志を受け継いでの大願成就であるとともに東龍寺の歴代のご住職方、また、志半ばで亡くなったり、寺を去った方々への報恩と、檀信徒ご先祖への最高のご供養になるのだと信じて精進してまいりたいと気持を新たに致しました。  照光殿は、月例の坐禅会、お彼岸会・お盆のお斎(おとき:供養のあとの食事)、御詠歌の練習、茶道などの稽古ごとを中心に使用しております。