すぱいらるSSS


チューベローズの香り

黒くそれを支配するのは闇と言う単語。
それを照らすのは、闇に浮かぶ一つの“夜の太陽”
そしてそれが照らしたのは一人の“悪魔”と、一人の”天使”。
“悪魔”と”天使”。
対になるモノが互いに見つめ合い、その視線を絡ませていた。
先に動いたのは“悪魔”だった。
すっ、と残酷な手が“天使”の細い白い首に当てられる。そして、それに力が篭る。
“天使”はそれを拒む事もせずただ立つのみ…。
いや、それを受け入れていた。それに快楽を覚えていた。
瞳に潤いが、息に熱気が込められる。
それを感じ、さらに力を込める“悪魔”。
“天使”はそれに応え、さらに深く燃え上がる。
“天使”の心は今の空と同じ。
清き部分はほとんど“悪魔”に犯され、かすかに残っているのは“夜の太陽”のごとき、少しの
光を放つのみ。
“天使”が堕ちようとしていた。
あたりに甘く蜜のにおいを漂わせ、妖しげな雰囲気を纏っていた。
“天使”が感じるのは支配される事に対しての悦び。
“悪魔”が感じるのは支配する事に対しての悦び。
だが、堕ちる事は許されなかった。堕ちる事を“悪魔”が許さなかった。
堕ちる…それを受け入れようとした時、それは止まった。
首に当たる快感は消えうせる。
残ったモノは白き光を放つ“夜の太陽”
残ったモノは快楽を求める“堕ちようとする天使”
残ったモノは堕ちることに期待を寄せる“汚れた天使”
“天使”は思った…。
“受け入れてもらえないなら、自分の手でヤレ…”
“天使”は“悪魔”に手をかける。それは何かの合図だったようだ。“悪魔”は笑みを浮かべ、
それを受け止める。“天使”はそれに力を込める。“悪魔”と“天使”の視線は絡み合う。
しかし、それもすぐの出来事。
“悪魔”は“天使”の手をつかみと、それを自らの首から取り払った。
そして、同じように“天使”の首に力を込める。
快楽が“天使”を襲う。
二人の間に漂うのは甘く甘美な香り。
二人の間に漂うのは切なく酸っぱい香り。
――――――それはまるでチューベローズの香り……。



※“悪魔…歩 天使…小夜子”です。


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