すぱいらるSSS


心地よい眠り……

何時ものごとく、授業をサボりのんびりと屋上で眠っているのはこの学園の一年、鳴海歩だった。
既に四時間目の授業も終わりに差し掛かっている時間で少しずつだが、人の声が聞こえ始めた。
歩は半分目が覚めており、そんな音を聞きながら“あいつはそろそろ来るな…”と思った。
「授業はちゃんと出ないといけませんよ」
屋上の扉を開けながら、そう言ってきたのは彼の先輩に当たる白長谷小夜子だった。彼女と
彼の関係は…世間一般で言う恋人同士というものだ。それにしても女性に対しての物言いと
しては不適切な話し方をしていた。
「ああ、あんたか…悪いが眠いんで寝かせてくれ」
「構いませんけど、授業にはちゃんと出た方がいいですよ」
「……」
無言で返したが中々眠れない。首と手が痛いのだ。まぁ、下がコンクリートだと仕方ないのだが。
その時、ふと頭が上がったかと思うと先ほどより柔らかいものが頭に当たった。目を開けてみる
と、そこには小夜子の顔があった。目を見開いて驚いていると、
「どうしたんですか?お気に召しませんか?」
「え、あ、いや…気持ち良いぞ。でも、あんたは?」
「大丈夫です。気になさらず、ゆっくりと眠ってください」
「…分かった。おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
傍から見ればとても仲良さげな恋人同士に見えるだろう。だが、二人とも大きな運命に翻弄
されているのである。少女は人殺しと言う名の運命。少年は兄という束縛に囚われている。
しかし、それもこの光景を見ればそれさえも忘れさせてしまう。それほど暖かい光景だった。


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