届く想い



空はすでに暗くなっており、普段なら少しぐらいの星が見えてもいいのだが、その見えるはずの
空は黒く分厚い雲に覆われ、空から滴を降らしていた。人々は傘をさして歩いているか、早足で
その滴の中を走り抜けるものであるが、一組の男女は全く周りと違った行動をとっていた。
彼らはこの雨の中、走るわけでもなくまた、傘をさす訳でもなくただ濡れるがままに任せていた。
すでに体も服もぐっしょりと濡れており、二人の体の線を露にしていた。さて、男の方である
鳴海歩と女の方である白長谷小夜子がこんな遅くまで何をしていたかと…。二人は音楽室で
珍しく話し込んでしまい、さらに雨まで降りはじめて止むまで待っていたのだがその様子は
無く結局、濡れて帰ってきているのである。
「ここまで濡れたら走る気も失せるな…」
「そうですね…」
その様子から二人は諦めており、その証拠に歩いている事が諦めている現われなのだ。
「ところであんた、そのまま家に帰るつもりか?」
「はい……と言いたい所なんですが、正直体が冷えてしまって…出来る事なら少し体を暖めて
 帰りたい所ですね」
と言いながら、彼女は肩を抱きしめ身を縮めた。彼女の栗色のウェーブがかかった髪から水滴が
落ち、またその髪が頬に張り付いている様子を見て、歩は少し“ドキッ”してしまった。普段の
彼女では見られないような妖艶な雰囲気を醸し出していた。しかし、そんな事も考えては
いられない。このままいれば二人とも風邪をひいてしまう可能性が高い。そこで
「なあ、もしあんたが良ければ俺の家に来るか?」
「えっ!?」
「いや、まぁ、こんな時間に男の家に行くのはやはり警戒するだろうし…。いやならそれで
 構わないんだが……。どうする?」
「そうですね…。体を温めたいので、お邪魔します」
「分かった。もう少しで着くから辛抱してくれ」
といって先に歩が歩き出し、その後ろ自らの肩を抱いた小夜子がついていった。さすがに下着が
透けてしまう為に歩は後ろを歩く事など出来なかった。無論、小夜子が気付いているとは思え
ないが……。



「悪いが脱いだ服を洗濯機の中に入れておいてくれないか?乾燥機もあるからすぐに乾くと
 思うが…」
「分かりました。でも、洗濯機はどこに…」
「行ったらすぐに分かる。着替えの服は洗濯機の上において置くから」
「はい、では先に浴びさせてもらいます」
と、髪や服から滴を落としながら浴室へと向かった。もちろん歩は先にバスタオルで頭の水気を
とっておき、彼女が浴室に入ったのを見計らって彼の服も洗濯機の中に入れた。そして、新しい
服を身に付け、洗濯機の上に義姉、鳴海まどかの服を拝借してきた、胸に少しの刺繍が入った
少し大きめの白いTシャツにジーパン。さすがに『彼女が穿くのか?』と思ったが姉さんの服は
どちらかと言うと運動性を重視した服装が多いために、スカートなど無かった。
(まぁ、少しの間だけだ、我慢してもらうか)
と自己完結をして着替えを洗濯機の上に置いた。その時、シャワーの音と浴室のドアの向こうを
意識してしまった。擦りガラスとは言え、ぼんやりとながら彼女の体の輪郭をあらわしている
しかも一糸纏わぬ姿である。さすがに歩も反応してしまった。
(やばい…これ以上、いたらマズイ…)
とリビングへ引き返した。その時、まるでタイミングを見計らったように電話が鳴った。
“プルプルプル、プルプルプル”
「はい、鳴海です」
『あ、鳴海の弟?』
「?どちらさまで?」
『白長谷、白長谷圭よ』
「ああ、どうしたんだ?こんな時間に?」
『小夜ちゃん、知らない?』
「ああ、白長谷なら今、シャワーを浴びてるぞ」
『…はぁ?なんで小夜子がそっちにいるのよ?』
「雨に濡れて、体が冷え切ったそうだ。それで今、浴びている所だ」
と、出てくるはずも無い浴室の方に目を向け、そう言った。
『まぁ、いいわ。小夜子そっちに泊めてやってくれない?今日、おじ様も一緒にちょっと
 出かけないといけないから。それに家に一人で置いておくに少し問題があるからね』
「お、おい!俺の都合は…!?」
『確かお姉さんがいたわよね。だから、よろしく』
「お、おい…」
電話に向かってそう言ったが、帰ってきたのは電話が切れた時のあの虚しい“プー、プー”と
言う音だった。
「俺の都合は全くなしか…」
切れた電話の受話器に向かってそう言った。無論、答えが返ってくるはずも無いが……。歩は
諦めたようにキッチンに入り三人分の夕食の準備を始めた。材料もそう無い中体を温めるために
スープでも作ろうと野菜を適度な大きさに切ってベーコンも同様に切った。材料が切り終わった
時、小夜子が出てきた。
「すいません。お先に入らせてもらいました」
「いや、体が温もったならそれでいい。少し悪いんだが、これを作っておいてくれ。俺は
シャワーを浴びてくるから…」
「分かりました。では、ゆっくりと体を温めてきてください」
そう言って彼女は歩から夕飯の作業を引き継いだ。そして彼はシャワーを浴びに向かった。



「上手かったな。ご馳走様」
「いえ、こちらこそご馳走様でした。しかし、圭さんとおじいさまが二人でお出かけになるとは
……」
そう、食事をしている時に電話の内容を小夜子に話しておいたのだ。小夜子は「そうですか、
ではお世話になります」と言って頭を下げた。といわれても歩としては余りいい気がしない。
年頃の娘と二人きりで同じ屋根の下、一夜を過ごすのだから余りラッキーな環境とは言いがたい。
まどかがいてもそれはそれで余りいい気がしないのは事実なのだが…。まぁ、義姉さんも帰って
くるだろう、と思っていた矢先、
“プルプルプル、プルプルプル”
電話が鳴った。
「はい、鳴海です」
『あ、歩?今日ね、ちょっとややこしい仕事が入ったから帰れそうに無いわ。お留守番宜しく』
「ちょっ…!」
言いかけたが、先ほどの電話と同じく帰ってきたのはあの“プーッ、プーッ”という虚しい音
だった。歩は受話器を見つめながら、
(どいつもこいつも……俺の話をどうして最後まで聞かないんだ……)
と半分呆れながら、それを戻した。
「どちらさまで?」
「義姉さんだ。今日は帰れないという電話だった。まぁ、明日は休みだから体の疲れは特に
 問題ないだろうけど…」
「そうですか……鳴海さん、襲わないで下さいね」
「誰が!」
「冗談ですよ。信じていますから」
と、少しふざけながら歩に言った。さすがに歩も気にはしていたが、あの娘、新聞部部長と
同じような発言をするとは思いもよらず、少し驚いてしまった。二人はそのまま、のんびりと
した時間を過ごし、そしてそれぞれの寝床へ向かった。歩は自分の部屋に、小夜子はまどかの
部屋の向かった。



全ては闇、この闇が支配している空間に存在しているのは自分とそして目の前に居る少女。
たったこの二人だけである。目の前にいる少女の顔は闇に隠れて見えなかったが、この闇に
似合わず純白の服を身に纏っていた。歩が何も言わずただたっているとその少女は歩に近づき
そして、何のためらいも無く何か胸につきたてた。熱い痛みがその胸に走った。そして、刺す時
と同じくためらいも無く胸から異物を引き抜いた。歩の服を赤く染めながら足元がふら付き、
前に崩れ落ちた。その時、目に入った光景はとても衝撃的な光景だった。自分の血が着いている
ナイフを眺めながら不気味な笑みを浮かべている“小夜子”の姿だった。

そこまでを見て歩は目を覚ました。さすがにこんな夢を見てしまっては寝ていられるはずもなく
結局、真夜中におきてリビングに姿をあらわした。雨もすっかり止み、空には星の光も見える
ようになっていた。すでにほとんどの家の電気は消えており、美しい夜空が広がっていた。
「えらい夢を見たな……最悪な気分だ…」
歩はキッチンに入り、冷蔵庫からお茶を取り出し一気に飲み干した。少し汗ばんでいる体を
乾かすようにリビングの開いている窓に近づき夜風に体をゆだねた。彼は気付いていなかった。
小夜子が自分に対してどんな顔で見ているかを……。いや、気付いているが口に、意識したく
無かった。気付けば自らの思いが押さえつけられなくなる。そうなれば……。今でも彼は兄貴に
コンプレックスを抱いている事が彼のその思いを押さえつけていた。
「……こうも静かだと意識するよな…」
歩はそう言いながらまどかの部屋の方に目をやった。その部屋の中では小夜子が眠っている。
それを意識しないようにすることはもう出来ないだろう。一回でも意識してしまったらそれを
止める事が出来ない。歩は結局、意識したまま夜空を眺めた。どれだけそうしていただろう。
「眠れないんですか?」
もう少し風に当たろうかとベランダに出て夜空を眺めていると後ろから声がかかった。ある程度、
闇になれた瞳と外からの光が彼女、小夜子の姿を捉えた。栗色の髪が流れるように彼女の動きに
合わせて動いていた。普段、見ない服装であるために新鮮な感じを受けているのだろうか、それ
とも彼女のことを余りにも意識するようになってしまっているからなのか、どちらにしても彼女
の一つ一つの動きに敏感に反応していた。
「いや、夢見が悪かっただけだ」
「…私も嫌な夢を見ました」
「俺を殺す夢か?」
彼女は少し目を伏せて「はい、そうです」と言いづらそうに言った。小夜子の夢は歩を殺す夢。
歩の夢は小夜子に殺される夢。立場が違うが、同じ夢を見ていた。
「偶然だな……」
「何がですか?」
「俺はあんたに殺される夢を見たんだ」
歩はソファーから立ち上がるとリビングに飾られている兄の鳴海清隆とその妻、鳴海まどかが
二人で写っている写真を手にとった。それを見つめながら
「俺はあんたに話したよな、兄貴に対して抱いているコンプレックスの事……」
「はい…」
「今日の夢を見て正直、不安になった。あんたまで俺を見放すんじゃないかと…。あんたまで
 俺を俺と見てくれなくなってしまうんじゃないかと……。そう思ったよ。あんたは俺を俺とし
 て見てくれるって言ったのにな…」
「私も怖いんです。自分がブレードチルドレンだから…。もしかしたら鳴海さんの敵に回るので
 はないかと、もしかしたら夢のように殺してしまうのではないのかと…。そう思うと怖くて。
 恐ろしくて……」
小夜子は歩むから視線を逸らした。髪が顔を隠してしまっているので表情はうかがえないが、
悲しそうな雰囲気を身にまとっていた。歩は小夜子に近づくと
「俺は別にあんたがブレードチルドレンだろうと関係ない。それにあんたを俺は信用している
 からな」
そしてその言葉に続けるように
「さて、寝るぞ。明日は休みだとはいえ夜更かしは体に悪いからな」
と歩は部屋に戻ろうとした。小夜子は戻ろうとしている歩を引きとめた。
「どうかしたのか?」
「…一緒に寝ても構いませんか?」
「…あ、あんた、正気か……?」
「正気ですよ…。でも、やはりそうですよね。すいません、変な事を言ってしまって…。
 忘れてください」
と彼女は歩の横を通り過ぎ、部屋に戻ろうとした。彼女が言った原因、あんな事を言ったのは
おそらく彼女が見た夢。歩を殺してしまう夢が関係してくるだろう。一人ぼっちになるのでは?
そういう思いが心にあったから、それが不安で彼女はああ言ったのだろう。それに気付いた歩は
「…分かったよ。そのかわり襲っても知らないからな」
「……はい」

(眠れん…)
小夜子に背中を向けて眠っているが、どうしてもベットが小さいためにどうしても互いの体が
触れてしまうのだ。
(仕方無い。眠った振りでもしておくか)
と思い、眠った振りでもしていれば、いずれ眠れるだろうと考え、歩はそのまま瞳を閉じた。
しばらくそうやっていると睡魔が襲ってきた。それと同時といっていいだろう、小夜子が歩に
話し掛けてきた。しかし、眠い歩は無視をした。
「鳴海さん…とは言っても眠ってるでしょうね…」
「……」
「…私、本当に怖いんです。あなたを裏切ってしまうのではないのか?あなたを殺してしまう
 のでは無いのか…そう思うと……。私は怖いんです。失うのが……。あなたの事が好きだから
 だから、失いたくないんです」
歩の眠気は完璧に去っていた。彼女の独白を一字一句漏らす事無く聞いていた。歩自身も小夜子
を失いたくなかった。そして、どうしてそう思ってしまうのか、その思いはどう言う感情から
来るのか、それを知りたくなかった。しれば自らの想いを知ってしまう事になる。それが歩に
とって恐ろしい事だった。知ってしまえば苦しまなくてはいけない。しかし、彼女の想いを
聞いてしまってはそれももう出来なかった。
「…おやすみなさい。鳴海さん」
「……俺だって失いたくない」
「えっ…」
歩は小夜子の方に寝返ると正面に向き合い、見詰め合った。
「俺だってあんたを失いたくない。俺は今まで人を好きになれなかった。兄貴に全て奪われて
 しまうからな……。みんな、俺を見るんじゃなく、鳴海清隆の弟として見ていた。だが、
 あんたは違った、あんたは俺を俺と見てくれた。そして俺自身を好きになってくれた」
「鳴海さん…」
「あんたが言っただけじゃフェアじゃないな……俺もあんたが好きだ」
「////はい」
彼女は照れ隠しなのか、それとも不安なのか歩の胸のなかに入ってきた。それを拒む事無く
歩は受け止めた。お互いの体が触れ合い、触れた部分から相手の体温が伝わってきた。
「暖かいな」
「そうですね…」
彼女の髪からシャンプーの匂いが香ってきた。いつも匂っている匂い。だが、彼女から漂って
来るだけで何時もとは全く違った匂いに変わっていた。しばらくお互い無言でいたが、小夜子が
「鳴海さん、お願いがあるんです」
「ん?何だ?」
「私の事を名前で呼んでいただけませんか?」
「…恥ずかしいな……」
「二人きりの時だけでも構いませんから」
「…さ、小夜子」
「はい、歩さん」
と嬉しそうに返事を返してきた。しかし、このまま夜を過ごすとなると…などと思いながらも
未だに伝わって来る彼女のぬくもりに身を任せていた。
「歩さん」
「何だ?」
「あなたがこんなに近くに居ながらも不安で仕方ないんです。あなたの温もりを感じながらも
 不安で仕方ないんです。あなたと切れない絆が欲しいんです」
「…それは…」
小夜子の言いたい事、遠回しで言っているこの言葉。歩には言いたい事がわかっていた。しかし、
本当にいいのか、この場の雰囲気に流されているのでは?という思いが心の中を占めていた。
確かに小夜子自身が不安になるのも仕方の無い事だった。自分はブレードチルドレン。
もしかしたら歩を殺してしまう事になってしまうのでは、という思いから不安になるのは十分
考えられる事だった。
「…歩さん」
「……後悔しないんだな」
「はい、好きな人だから頼んでいるんですよ」
「分かった」
歩は小夜子に覆い被さると、服の上から彼女の豊満な乳房に触れた。制服姿の彼女でもその胸の
大きさは確認できるが、見ると実際触ってみるのとは大きな違いだった。
「結構、大きいな…」
「そ、そうですか」
歩の見当違いの言葉にさすがの小夜子も反応に困り、顔を赤くして答える事しか出来なかった。
歩はしばらくそれを触っていた、が今度はTシャツの裾から右手を入れると、直にそれに触れた。
先ほどとは違い、彼女の体温が直接、手に伝わってくる。それはまるで燃え盛る炎のように
熱く、そして力を入れるたびに形を変えた。その柔らかい乳房の奥に固いしこりを感じた。
触れられている間、部屋を支配していたのは、小夜子が発する熱っぽい吐息と、時折漏れる
彼女の甘ったるい声だった。それに反応しているのか、更に顔が赤くなっていく。そして、
空いている口は彼女の耳朶を優しく、時に強く、と強弱をつけて噛んでいた。左手は彼女が
しっかりと掴み、放さなかった。
「歩…さん……」
熱い吐息の吐いている彼女の口から途切れ途切れに彼を呼ぶ声が聞こえた。
「何だ?」
「……傍に…いて…下さい……」
「ああ。居てやる。絶対に手放さないぞ」
歩は右手で彼女のTシャツをめくり上げ、ブラジャーを外した。フロントフックであった事が
作業の短縮になった事は間違いない。露になった彼女の胸。そして、その丘の上につん、と
自己主張するようにそそり立っている乳首を、幼児に戻ったようにそれを口に含むと吸った。
それだけの行為にも関わらず、彼女は敏感にその快感を受け取った。
「ひぁ……ぁ」
そんな声を上げて、背中がそった。彼女の右手は歩の左手を握っているが、右手はシーツを
しっかりと握っていた。歩は空いた右手で彼女のズボンに手をかけた。ジーンズだった為、
ボタンとチャックを下げるだけで、ショーツが露になった。そして、他者が触れた事も無い
だろう、その秘部の中にショーツと一緒に指を少し入れた。
「…!あ、歩…さん」
その歩の動きに何かを感じたのか、畏怖と羞恥が入り混ざった表情を浮かべた。歩は彼女の
気持ちを落ち着けるように普段、浮かべない笑顔を彼女に向けて浮かべた。それを見て少し
落ち着いたのか、目をつぶり彼の行為に身を任した。
「濡れてるな…」
「…い、言わないで…下さい」
恥ずかしそうに顔を背け、赤い顔を更に赤くした。その様子を見て、歩は少し考えたが、それを
行動に移した。
「なぁ、小夜子。悪いが手を放してくれ」
「……」
少し悲しそうであったが、しぶしぶといった感じで手を放した。その空いた左手は右手と同じ
ようにシーツを握った。歩はジーンズと一緒にショーツも脱がそうとしたが、腰を上げないと
無理だった。
「それと、もう一つ。腰を上げてくれ。脱がしにくいんだ」
「…はい……でも、余り見ないで下さいね」
「善処する」
恥ずかしそうに腰を上げた。それを見計らって歩はそれを脱がした……が、ショーツは透明な
糸を引いていた。それを口にすれば間違いなく、彼女は恥ずかしさの余り泣き出すかもしれない。
俺はその光景を自分の記憶の中だけに残しておいた。
彼女はこれから何をするのか分かっていたようで、少し内股ではあるが足を広げた。歩は彼女の
秘部に顔をつけると舌でその裂け目の中に入っていった。すんなりと入るはずも無く、強引に
舌をねじこむように入れたのだ。
「ふぁ…!っ…はあ!」
先ほどよりも溢れ出てくる透明で甘酸っぱい液体。それを味わうように舌を動かした。その度に
彼女の足は閉じようとするが、歩の頭が邪魔で閉じる事が出来ない。
「あう…あっ…!…ん……ぅあ!」
それから逃げるように腰を動かすが、手で足を押さえつけ、動かないように固定した。歩は
小夜子のものでべとべとになった口を放した。少し唇をなめるとやはり甘酸っぱい味がした。
ふと、彼女の秘部にあるものを発見した。男なら一度は聞いた事のある単語。そして、そこは
女性が一番感じる所……。歩はそれを見つけると、彼女の秘部に再度、顔を近づけそれを
思いっきり吸い立てた。もちろん、そんな事をしてされている側が普通でいられるはずが無い。
「っ………!!」
目は大きく見開き、少し汗ばんでいた体にそれ以上の汗が吹き出てきた。さっきまで抵抗して
きた彼女の足と腰は一気に力が抜け、まさにペタン、という擬音が当てはまるようにぐったりと
ベットに体を預けた。焦点の定まらない瞳が虚空を眺め、手足ははっきりと分かるぐらい痙攣を
起こしていた。息は完全に上がり、胸が激しく上下していた。
「あ、歩さん……ひどい…ですよ」
「悪い。でも、十分、濡らしとかないとな」
そう言いながら、自分のズボンをずらし始めた。上着はすでに前のボタンを外しており、
問題は無かった。すでにそそり立って言う物を開放した。大分、焦点は定まっているが、
それでもまだ放心状態にいる事には変わりなかった。恐らく今がチャンスだろう。意識を
はっきりと戻す為にも……。歩は彼女の唇に自分の唇を重ねた。それと同時に彼女の裂け目に
自分の物を押し当てた。再び、彼女の目が見開かれる。それと同時にゆっくりと入れていく。
声にならない叫び声を上げていた。
「くっ……ぁ……!!」
しかし、歩に如何こう出来る問題でもない。痛みを和らげる方法と言えば深呼吸する事だろうが、
今の状況でできるはずも無いだろう。出来る事といえば、気休め程度の声をかける事ぐらいだ。
それでもやらないよりはマシである。
「…我慢しろ、としか俺には言えないな」
「だ、大…丈夫…です。だか…ら…、止め…ないで……下さ…い」
「分かった」
せめて出来る事といえば、早く奥に行く事であろう。歩は止める事無く、そしてスピードを
上げる事無く、ただ一定のスピードで押し込んでいった。急に抵抗が強くなった。まるで
何かの壁に阻まれたようなそんな感じが。だが、止まる事無く力をいれてそれを……破った。
「………っ!」
さすがに我慢が出来なかったのだろう。彼女の瞳には涙が溜まっていた。そして、シーツを
握っている手は黄色くなるぐらいまで強く握っていた。彼女の肌は恐ろしい程までに熱く、
彼女の中の壁は躍動していた。歩は更に奥に進み、全てを入れた。透明な液体の中に真紅の
液体が混じっていた。それが小夜子の純潔がなくなった事を示していた。
「はぁ…はぁ……」
「大丈夫か?」
「はぁ……。はい……大丈夫です……」
泣きながら、そして顔を赤らめたままで小夜子はそう答えた。
「動いてもいいか?」
「……はい……構いませんよ」
その言葉に俺はゆっくりと動き始めた。小夜子の壁に自らのものがこすれ、熱く発熱していく
のがはっきりと感じた。シーツを握っていた手が歩の背中にまわる。それがきっかけだったのか
締め付けが強くなった。それでも休む事無く、動きつづける。
「くっ……」
「あ……あっ…あくっ……ふぁ!くぅ……っん!」
小夜子の声が更に歩を興奮させる。すでに歩自身も限界に近づいてきていた。彼女ももう我慢の
限界にきているだろう。歩はもう一回、思いっきり彼女の中に押し込んだ。熱い物が彼女の
中に出ようとしている。それを手助けするかのように、小夜子の壁は搾り出してきた。
「くぁ……!」
「くぅん……!!」
小夜子は背中を逸らし、腰を歩に突き出した。それも一瞬、力が抜け、そのまま倒れてしまった。
そして歩も腕で自分を支えていたが、ついに力尽き小夜子の上に倒れこんだ。

その後も二人は幾度となく体を重ねた。自らの存在を誇示するように、お互いの存在を
確認しあうように……。



「ふう……。もう朝か…余り寝ていないが仕方ないな…」
歩はぶつくさ言いながらベットから抜け出ると、昨日の夜に脱ぎ捨てた衣類を拾い集め、それを
身に付けた。ついでに小夜子の分も集めておき、ベットの傍に置いておいた。彼は朝食の準備を
するためにキッチンへ向かい、軽い朝食を作った。しかし朝食が完成しても小夜子が起きてくる
気配は無かった。まぁ、確かに彼らが眠ったのは今から二時間ほど前なのだから仕方ないだろう。
普段の小夜子の生活から考えれば、彼女にとってありえない睡眠時間なのだから……。
「ほら、起きてくれ。もう朝だぞ」
部屋に入ると案の定、綺麗な寝顔を歩に対して無防備に見せていた。
「……」
そんな気持ち良さそうな寝顔が朝日に照らされ、何とも心地よい落ち着いた気持ちになった。が、
いつまでも彼女の寝顔を見ているわけにはいかない。
「ほら、起きろ。小夜子。朝だぞ」
「…ぅん…もう少し…」
「もう少しじゃない。早く起きろ」
「…ぅん…?あ、歩さん?」
「ああ、歩さんだ。起きろ、朝飯はもう出来てるんだ。冷めるぞ」
「分かりました。起きます」
と半分寝ぼけたような感じで彼女は“むくっ”と全く隠す様子も無く起き上がった。どうやら
昨日の行為をすっかりと忘れていたようだ。もう少しで彼女の乳房が見えるといったときに、
外のかすかな冷気によって完全に覚醒したのか、急いで掛け布団を胸に当てた。どうやら、覚醒
と同時に昨日の出来事を思い出したようで、少し顔を赤らめた。
「歩さん。外に出ていてくださいませんか?」
「もう触ったんだからいいだろ?」
「それとこれは……」
「分かった。出るからさっさと着替えろよ。朝飯が冷めるからな」
「はい」
歩は彼女のそう言って、部屋を出た。リビングから見える空は晴れ…いや、快晴といった方が
いいだろう。空に雲一つ浮かんでいなかった。彼はそんな空を見て、今日の一日の予定を考え
始めた。ブレードチルドレンの問題はまだ片付いていない。しかし、そんな彼らにも一時の
休息が必要である。今、彼はその休息をどう過ごそうかと朝食の並んだ食卓に座り空を眺め
ながら考えていた。


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