すぱいらるSSS
お弁当……
昼休み前の最後の授業、鳴海歩は珍しく真面目に授業にも出ていたが、外を眺めているだけ
だった。それでも成績が優秀なのだから羨ましい事この上ない。まぁ、そんな事はさておき、
チャイムが鳴るとみんなが急いで思い思いの場所へ向かった。彼もそんな様子を見て鞄から
弁当を出すと、気だるそうに屋上へ向かっていった。普段、誰も姿を見せない屋上だったが彼が
来た時には既に一人の女性が座っていた。
「今日はちゃんと授業に出たんですね」
「ああ、まぁな」
腰まであるウェーブのかかった髪が特徴の彼の先輩、白長谷小夜子だった。彼は彼女の隣に
座ると自分の弁当を広げた。十六歳の男の子が作ったとは思えないぐらい、色とりどりであった。
「おいしそうですね」
「ん、勝手につまんでも良いぞ。俺もあんたから貰うからな」
と宣言した彼はいきなり彼女のお弁当から、定番の卵焼きを取った。「うまいな」と言いながら
もう一個と手を伸ばしたがそこに弁当箱は無かった。彼女は
「これ以上はあげませんよ。私も卵焼きが好きですから」
と言い、彼女は歩のお弁当から彼と同じように卵焼きを取った。二人はそんな事をしながら
幸せそうな昼休みを過ごした。空はまさに快晴と言う名が相応しい空だった。その空に浮かぶ
太陽だけが二人を見つめていた。