これは「if」の物語。




誰もが一度は願った不幸な「事件」が起こらなかった幸福な日常。




そんな幸福で楽しく、時に悲しい物語を綴っていこう。








         『第一話 if』




ガタガタと揺れ、目的地に進んでいくバス。
その中は賑わっていた。
……「賑わっていた」なんて生易しい。
そこはむちゃくちゃ煩かった。いや、もうくちゃくちゃ煩かった。


「ひゃっほ〜〜〜〜う」
「りんちゃん、お菓子食べる〜?クーちゃんも食べる?」
「ん、ありがとうこまりちゃん」
「わふー。ありがとうございます、小毬さん」
「姉御姉御〜、外見てくださいよ。景色がきれ〜っすよ!」
「葉瑠佳君、私は今クドリャフカ君がお菓子を頬張っている姿を見るのに忙しいんだ」
「理樹〜、何かして遊ぼうぜ。俺的には筋肉がこむらがえったに一票だ!」
「やだよ。真人は筋トレでもしておけば?」
「おぉ、筋トレがあることを忘れていたぜっ。流石理樹だな!」
「……真人×理樹……美しくないです……。」
「西園さん……?」
「いえ、何でもないですからお気になさらずに」




とまぁ、これがバスの中の「一部」である。
全体になるともっとカオスな状況なのだが……。




「そろそろ目的地に着くころかな?」
「確かこの森林地帯を抜けた先だったと思いますよ」

西園さんは本から目を離さずに僕の呟きに答えた。
外の景色も見てないのにどうしてわかったんだろうか。

「早く目的地に着かないかな〜、私は暇で暇でしょうがないですヨ」
「私はもう少し鈴君やクドリャフカ君の姿を見ていたいな。葉瑠佳君も見たまえ、あの可愛らしい姿を」




そんなカオスだが楽しい空間を乗せたバスは進んでいく。
後少しで不幸な「事件」が起きた場所へ。
けどこれはifの世界。




――――――差し掛かった…………。



























何事もなく進んでいくバス。
不幸な「事件」は起こらなかった。
これはifの世界。
誰もが願った幸福な日常。
そんな物語を綴っていこう。