部屋のドアがノックされる。
 こんな朝早くに誰だろう? と思っていると恭介が「お、きたきた」といった表情でドアの方をみる。

「開いてるぜ」

 誰だろうと思っている間に、恭介が勝手に返事をして部屋に入るように促す。
 そして、ドアを開けて一人の女子が部屋に入ってきた。



『直枝理樹ちゃんの受難』
   〜初日、受難始まりの日・その2〜




「失礼するわ」
「げっ、お姉ちゃん」

 部屋に入ってきた二木さんをみて、葉留佳さんが「うげっ」と声を上げる。
 そんな葉留佳さんをちらりと一瞥しただけでスルーし、二木さんは一直線に恭介の元へと歩いていく。
 傍目には冷静を装ってるけど、二木さんから感じられる空気はどうみても不機嫌そのものだ。

「棗先輩、これは一体なんのイタズラですかっ!」
「なんのって、送った内容そのままだが?」

 ばんっと机を片手で叩きながら二木さんは携帯を恭介の方に向けて突き出している。
 いきなりの展開に、恭介以外のほぼ全員が呆然と二人の様子をうかがってる。

「そもそも、どうしてあなたが私のメールアドレスを知ってるんですか!! 教えたことは無かったと思いますけど?」
「ああ、それは――」

 冷静な表情をしつつ激昂するという器用な技を披露して詰め寄る二木さんに、恭介は平然と返す。
 と、その時小さく「あ、ヤバ……」という声が聞こえたけど、恭介はそのまま続ける。

「三枝に教えてもらった。ちょっと連絡が取りたくてな」
「は〜る〜か〜?」
「わひゃっ! いやほら、恭介さんに教えてって言われたからつい」
「勝手に人のメールアドレスを他人に渡すなんて、いったいどういう神経をしてるのかしら?」
「まあ待て二木。聞きだした俺が言うのもなんだが、別に悪戯なんかにはつかわないさ。
 用件はただ一つ、今ここに置かれてる状況のために一つ頼みごとをしたかっただけさ」
「ふん、あの悪戯メールで?」

 呆れたような笑みで恭介を見ながら、二木さんは自分の携帯をちらりと一瞥する。
 そこでもう一度「はっ」と乾いた笑いを漏らしながらメール文面を読み上げる。

「『突然だが、理樹が女になっちまった。悪いがしばらくの間女子寮に置いてやってくれないか』」

 明らかに馬鹿にしたような顔でいいながら、二木さんは恭介の口調そっくりにその文を読み上げる。
 葉留佳さんがそれに「うわっおねーちゃん、恭介さんにそっくり」といって睨まれてたけど。
 だったらしなきゃいいのに、という言葉は口に出さず飲み込んだ。
 余計な藪は突っつかない方が無難だし。

「こんな内容、誰が信じられるっていうの?」
「だが、事実は事実だ。そんなに疑うなら本人を見てみればいい」
「そうね。確認をした後でゆっくりとこんな悪戯をした理由を聞かせていただきましょう」

 あたりまえだけど、まったく信じている様子のない二木さん。
 その自分を疑っていない、悠然とした顔があたりをきょろきょろと見回す。

「それで、直枝理樹はどこなの? まさか悪戯のためにどこか別の場所にいるとか無駄なことはしてないわよね」
「うむ、理樹君ならここだ」

 そういって来ヶ谷さんがすっと動いて、僕を前に出す。
 背が縮んだ僕は、長身の来ヶ谷さんの後ろに隠れてちょうど二木さんには見えない位置にいたらしい。
 どういう表情をしていいのか分からず、おどおどとしたまま二木さんの前に出される。

「ああ、いたのね。来ヶ谷さんに隠れててわからな……か……」

 僕を見て、最初は普通だった二木さんの動きが徐々に固まる。
 最初はいつものあきれ顔、そして徐々に固まっていって妙なものを見る目になる。
 そして、最後は頭の痛い子を見つけてしまったような顔で見られてしまった。

「……直枝理樹、あなた、その……そういう趣味だったの?」
「ちがうよっ! 朝起きたら突然こうなってたんだよ!」
「わざわざパッドまでして小細工なんかして……そこまであなた達は私をコケにしたいのかしら」

 こめかみをピクピクとさせながら二木さんは怒りを抑えるように目を閉じる。
 どうみても信じている様子はない。
 うん、当たり前だ。これが普通の反応だと思う。
 よかった、やっと普通の反応をする人に出会えたと場違いながらどこかほっとする。
 もっとも、二木さんは怒ったままだけど。

「それともあれかしら? あなたはそうまでして女子寮に住みたいのかしら?」
「そんなわけないよっ! むしろ出来れば普通に男子寮に住んでいたいよっ」
「なら、やっぱりそのパッドは趣味なのかしら? どちらにしても、放置しておくわけにはいかない風紀の乱れね」
「だからそういうのじゃなくて、ホントに朝起きたらこうなってたんだって!」
「だったら外せばいいじゃない。どうせそこの棗先輩が寝てる間にあなたに仕掛けたんでしょう」
「外せるものならとっくにはずしてるよ!」
「外せないわけないでしょう。ウソもそこまで堂々とすると逆にすっきりするわね。いいから外しなさい。まったくそんなものをつけて――」
「んぁっ――!」

 いきなりつかまれて、変な声が出てしまった。
 思わず飛びのいて、二木さんと距離を取ってしまう。
 自然と胸元に手が行き、ガードをするような体制を取ってしまう。
 視線の先には、驚いたような表情の二木さんが手を伸ばしたままの状態で固まっている。

「え……あ、なに?」
「ふむ、二木女史。いくら理樹君が可愛いからといっていきなり胸を鷲掴みとはよくないな。というか、私もまだ触っていないんだぞ」
「ダメですよーお姉ちゃん。理樹くんはまだ慣れてないんですから、やさしくしてあげないと」
「かなちゃん〜? いきなり人の胸をつかんじゃいけません」

 驚いてる二木さんをよそに、みんなは好き放題言っている。

「え、いやだって、パッドでしょ……?」
「だから先ほどから理樹君が何度も言っているが、アレは本物だ。偽物ではない。
 先ほど鈴君と小毬君が確認したからな。ちなみに、着やせするタイプだそうだ」
「って、余計な情報まで言わなくていいよ!」

 まだ混乱してる二木さんが、完全にパニくったような表情でおろおろとしだす。
 ……こんな二木さんは初めて見るから、なんか新鮮な気がする。

「え、あ、その……あれ、そういえば背も縮んでる……? でもそんなことがあるわけ……でも温かかったような気がするし……あれ?」
「ふむ、まぁ混乱する気もわからなくはない。が、目の前にあるのが事実だ。佳奈多君も受け入れたまえ」
「え……あ、はい。……直枝理樹、あなた、その、本当に?」

 今だ半信半疑な状態の二木さんが、確認を取るように言う。
 いまいちなんと答えていいか分からずに、少しためらったあとコクンとうなづく。
 ふとすっと二木さんが近づいてきて、マジマジと僕の様子を観察しだす。

「……確かに顔は直枝理樹そのものね。妹がいるって記録もないからその線もない、か。……あなた、本当に直枝理樹?」
「残念だけど……僕は僕だよ」

 ぐるりとまわりを一周されて観察される。
 なんか、珍獣か何かになったみたいで落ち着かない。
 というか、この人は生徒の家族構成を全て把握してるんだろうか? 風紀委員ってそんなことまでするんだっけ?
 しばらくあちこち見られたり、触られたり質問をされたりしたけど、最終的には信じてくれたのか長い溜息と共にこの変な事実を受け入れてくれた。

「はぁ……もういいわ。理由は分からないけど、直枝理樹は女になったってわけね」
「ああ、その通りだ」

 目の前まで顔を近づけられてこっちを観察する二木さん。
 流石に恥ずかしくなって視線をそらすと、フンッと笑って呆れたように距離を離す。

「まあいいわ。理由はわかりました。女子寮への移動の許可を出しましょう。学校への申請はこちらから行っておきます」

 通るんだ!?
 あの二木さんがあっさりと恭介の要望を通したことに驚く。
 こんな状態でも、それとこれとは別で考えるものだとばっかり思っていた。
 そんな表情に気づいたのか、二木さんは再び口を開く。

「一応言っておくけど、あくまでも元に戻るまでの緊急措置です。棗先輩の言っていることにも今回は一応筋が通りますから。
 流石にその姿で男子寮にいるのは風紀の乱れに繋がりかないわ。万が一あなたが特殊な趣味の人だとも限らないし」
「そんな趣味ないよっ!」

 断固として否定すると、後ろの方ではぁ……というため息が聞こえてきたけど、あえて聞かなかったことにしておこう。

「但し、いくつか条件をつけさせてもらいます」
「条件?」
「ええ、いくら女になっているからといっても元は男よ? 直枝理樹になにかをする甲斐性があるとは思えないけど、万が一がないとも限りませんから。
棗先輩もそこは否定できませんよね?」
「まあ、理樹も一応男だからな。なにかしらの条件がつくのは承知の上だ」

 当事者を除いてトップ同士で話が進められていく。
 男としてみてもらえる事は嬉しいけど、喜んでいいのかどうか微妙な会話ではある……

「一つ、寮の部屋は旧館。理由はそちらの方が寮生が少ないから。おそらく寮長に話を通してもそちらになるわ。
 二つ、みだりに女子寮を歩き回らないこと。知り合いの……まぁこの集団の部屋に行く程度は許可します。
 ですが、理由なく寮内を歩きまわることは控えていただきます」
「まあ、それくらいなら……」

 ここのみんなは気にしてる人がいないけど、元々僕が女子寮に入ること自体がおかしいことだ。
 佳奈多さんの要求は筋が通ってる……というよりは、むしろかなり譲歩されてる気がする。
 本来なら一蹴されて終わりだとばかり思ってたのに。
 ……正直ちょっとその展開に期待してただけに残念だ。
 僕からしてみたら、女子寮に一時的とはいえ暮らす方が気が気じゃない。なんというか、いらない気苦労で疲れる気がする。

「三つ、」
「チョットチョット、まだあるんですかお姉ちゃん」
「まだ? これでもかなり譲歩してる方よ。現状がどうであれ、本来男が女子寮に住む方が間違ってるわ。
 直枝理樹じゃなかったら、まず許可してないわ」
「ほう、理樹君は佳奈多君からはかなりの信頼を得ているようだな」

 珍しそうに、来ヶ谷さんがそういう。
 その発言に、二木さんは呆れたような笑みを浮かべて返す。

「違うわ。直枝理樹なら間違いをする根性がないっていうのが一つ、
UBラインを越えることを女子寮全体でスルーされているから安全と判断しただけよ」
「だが、それだけでは君は許可しないだろう。そもそも、周りが許してるから侵入を許すなど、君はしない。
見つけ次第注意、警告を促し二度目は見逃さないだろう。それを見逃しているだけで、佳奈多君が理樹君にそれなりの信頼を置いている何よりの証拠だ」
「……なんとでも仰ってください。それより、三つ目の条件だけど」

 来ヶ谷さんの相手をするのは不毛と思ったのか、無視して話を元の起動に戻す。

「誰か一人、ルームメイトをつけなさい。監視の目の意味もあるけど、中のルールを知らない人に右往左往されるのも困るわ。
世話係として誰か一人、直枝理樹につくこと。女子には男子とは違うルールがたくさんある。中には、知らないじゃ済まされないこともあるわ」

 それじゃあ、決まったら伝えに来なさい。私は仕事があるので行きますと言って部屋を出ていく。
 ご丁寧にも去り際に「またひとつ余計な仕事が増えましたし」と残して行ったけど……
 でも、誰かルームメイトを、か。

「うーん……」

 正直、……そっちのほうがむしろ風紀上よくなきがしなくもないんだけど。
 監視をする必要性のほうが二木さん的には勝ったんだろうか?
 それに

「ん、どうしたんだ理樹?」
「いや、二木さんの出した条件だけどさ。無理じゃないかなって」
「どうしてだ? ぜったい外にでるなとは言われてないし、旧館だってじゅうぶんきれいだぞ?」
「いや、それはわかるけど。三つ目の条件だよ」
「ああ、誰かルームメイトをつけろというやつか」

 納得したようにいう謙吾。にもかかわらず、鈴はイマイチ分かってないみたいだ。

「えっと、つまりね。僕と誰かが相部屋になるってことなんだけど」
「っ!!」

 ようやく分かったというように、鈴が赤くなってびくっと後ろに飛び退く。

「わかったでしょ? だから無理だと思うんだ」

 いくらなんでも、流石にみんなも相部屋を了承してくれるとは思えない。
 外見はどんなでも、中身が男だったら抵抗があるだろう。

「ん、何が問題なんだ理樹君?」
「へ? いやだから嫌でしょ相部屋なんて」
「別に今の理樹君なら構わないが?」
「ええ!? いや普通構うでしょっ」
「流石に男のままの理樹君だったら多少抵抗はあるが、今の理樹君は女の子だ。おねーさんとしてはむしろ大歓迎だ」
「中身は今も男のままだよっ! 普通は嫌でしょっ」
「うん、あたしはいやだ。体が変わっても理樹は理樹だ。それは変わらない。だから一緒の部屋なんて恥ずかしすぎる」
「ほらっ。これが普通の反応だよ。みんなだって抵抗あるよね?」
「ふぇ? 私は別に構わないよ〜。理樹君が元に戻るまでばっちりお世話するよ」

 いつも通りのふわふわ笑顔でそういう小毬さん。
 一番恥ずかしがって断りそうだと思ったのに……今の僕は小毬さんの中じゃもう完璧に女の子になってるらしい。

「私も別に構いませんよ。ルームメイトは佳奈多さんですから、了解も取りやすいです」
「ふっふっふ、はるちんも別にかまわないデスヨ。今の理樹くんはいじり甲斐がありそうなのでむしろウェルカムなのですヨ」

 善意100%で言ってくれるクドと、悪戯するき満々の葉留佳さん。

「わたしも別に構いませんが……本の移動が少々面倒ですね」

 あくまでもマイペースに本のことが念頭に置かれる西園さん。

「でも、少し楽しみもありそうです」

 そういって微かに微笑む西園さん。前言撤回、少し西園さんも予想と違った。
 って、そうじゃない!

「なんでみんな気にしないのさ!?」
「みんな変だっ」
「ふぇ? だって理樹君だし」
「なんでといわれましても……リキが困ってるなら手伝ってあげたいです」
「こんな面白そうなこと、見逃せるわけないですヨ」
「ゆっくり染めていくのも、ありかとおもいまして……」
「わかったかい? 全然無理なんかじゃないのさ」

 ふふ、と笑いながら来ヶ谷さんが言う。
 なんでこの人たちは何も気にしないんだろう……

「でも、やっぱり女子寮で生活するっていうのは、その、ダメな気がするんだけど」
「佳奈多君もOKだと言っていただろう」
「別にこのまま男子寮でも……」
「君の身が危険にさらされると思うが?」
「そ、そんなことは……」
「さっきの恭介氏の反応を見ても、そうと言えるかね?」

 恭介の……
 ちらっと、恭介の方を見る。

「な、なんだよ……」
「ふむ、確かにさっきの恭介の様子は少し怪しかったな」
「はっ、何言ってんだよ謙吾。そんなわけないだろう。大丈夫だ理樹。俺は気を惑わせたりはしない」
「でもさっき一瞬言葉に詰まってたよな」
「大丈夫、俺は正常だ」
「恭介っ」

 謙吾と真人の言葉に、恭介は平然と答える。
 その表情には一片の曇りもない。うん、やっぱり恭介は恭介だ。
 と、そう思っていると来ヶ谷さんが耳元で囁いてくる。
 え……それを、言えと?

「? どうしたんだ理樹」
「理樹くん。それを言っても恭介氏が反応しなければ大丈夫だろう。
だが、反応した場合は他の男共も同様に理樹くんを女とみる可能性があるだろう」

 でも、それはかなり恥ずかしいセリフなんだけど……
 けど、言わない限り来ヶ谷さんは納得しなさそうだ。目で強く「言え」と言われている。
 うう……でも、これで安全かどうか判断ができるなら、安いのかもしれない。
 恭介、信じてるよっ!

「えっと、もしもの時は、守ってくれる?」

 元々背が高い恭介を、縮んでしまった僕とでは前に比べて背丈に差が出来ている。
 だから上目遣いに恭介を見上げ(というか、来ヶ谷さんにそうしろともいわれた)、来ヶ谷さんいわく「決めゼリフ」を口にする。

「恭介……お兄ちゃん」
「ぐっ――」
「ぐ?」
「ぐはっ!」

 突然恭介が吐血したっ!

「ちょ、きょ、恭介!? 大丈夫!?」
「あ、ああ。大丈夫だ。あまりに驚いたんで少しばかり錯乱してしまったようだ」

 腕で血を拭いながら(というか、Yシャツに血が付いてるけどいいのかな)、恭介はすくっと立ちあがって無事をアピールする。
 そして、真面目な顔をして僕の方を見る。

「ところで理樹」
「な、なに恭介……」

 なんとなく、足が一歩後ずさる。
 恭介の真面目で真剣な眼が、今は少し怖い。

「すまんがもう一度言ってくれないか」
「……はい?」
「だから、もう一度『お兄ちゃん』と――
「きしょいんじゃぼけーーーっ!!」

 恭介が言いきる前に、鈴のハイキックが恭介の側頭部を吹っ飛ばした!
 真人を巻き込みながら壁にぶつかった恭介(あの真人を巻き込むなんてどれだけ強く蹴ったんだろう)との間をさえぎるように鈴が立ちふさがる。
 ふかーっと恭介を威嚇しながら(恭介も真人も気を失ってるけど)鈴が僕の手をひっぱる。

「いくぞ理樹。ここにいるのは危険だ」
「え、ちょ、鈴!?」
「だから言っただろう、男子寮(ここ)は危険だと」

 来ヶ谷さんも立ち上がる。

「いやぁ……今の恭介さんはちょっとヤバかったですねー」
「わふー……恭介さんが変態になってしまわれました……」
「違うぞクド。あいつは元々ロリで変態だ」
「変態の上にロリですか!」
「ああ、クドリャフカ君も気をつけないと恭介氏の餌食になってしまうぞ」
「それはとっても嫌なのです……」
「棗×直枝……今後に期待ですね」
「理樹君、大丈夫です。理樹君は私達がちゃんと守るよ〜」

 全員に囲まれるように部屋から連れ出されていく。
 恭介の反応を見てしまった僕は、抵抗する気力もなく引っ張られるままになっている。

「謙吾少年、すまないが理樹君の荷物をまとめておいてくれないか。とりあえず流用できそうな衣服と教科書類だけでいいだろう。
残りの足りないものは後で私が理樹君をつれて取りに来ようと思うが、一度に運ぶのは骨が折れる」
「了解した。ついでにこの馬鹿二人は俺が看ておこう」
「ふむ、今日の謙吾少年は一番マトモだな。それでは頼むよ」

 そういって、来ヶ谷さんは僕の部屋の扉を閉じる。
 そのまま、僕は女子寮まで連れていかれた。







最近BLに目覚め出した変態・棗 恭介氏(21)によるあとがき



「ちょっとまて……その枕言葉は何だ! しかも(21)じゃねぇ!」

――いやいや、(21)でシスコンでさらにBLに……

「んなわけあるかっ!」

――でも、さっき理樹クンに萌えてましたよね?

「う……いやいや、そんなことは」

――ここのあとがきでなら、理樹クンに好きなように喋らせること、デキマスヨ?

「そんなことは……」

――お兄ちゃん、はもとよりお兄様でも兄さんでもなんでもアリデスヨ?

「……」

――んー、でもまぁ違うならイイデスネ。それじゃあさくっとあとがきを

「まった! 本当になんでも言わせることができるのか?」

――はいー。あとがきという空間は全部スイさんの意のままなのです

「なら……うん、せっかくだしな。そう、せっかくだ。あえて呼んでもらうのもありかもしれないな」

――ほうほうほうほう?

「ふむ、どうせならな、その……鈴にも言わせることはできないか?」

――まぁできなくはないですけど……この連載のあとがきシリーズはあたしの空間ですから

「だったらだな……(ごにょごにょごにょ)」

――ふむ、きょーすけさんもなかなかマニアックですネ。しかも一人増えていらっしゃる

「それは、その。あれだ。サービスってことで一つ」

――まあおっけーなのですよ〜。……こほん、では。わかりやすくセリフ前にキャラ名でもつけて、どうぞ〜

鈴「お兄ちゃん」

「ぐはっ……普段言ってくれないだけに、なかなかグっと来るものが……」

理樹「恭介兄さん」

「ぐふっ! や、やっぱりこういう呼び方も捨てがたいな……ボーイッシュさが残る理樹にぴったりだぜ」

クド「きょーすけお兄様〜♪」

「がはぁっ!! 能美のあの姿と笑顔で言われるとやっぱりいいな」

――……やらせておいて何なんですけど、なんというか、アレなものがアリマスネ。今の恭介さん

「なんとでも言え。俺は今最高にうれしいんだ。そうだ、どうせなら全員一気に言わせてくれないか?」

――そろそろやめておいた方が無難だと思いますけどー……

「まぁまぁいいじゃないか。あとがきはちゃんと盛り上げてやるから。だから、な? 頼むよ」

――んー……まぁ、それなら……って

「ん、どうしたんだ?」

「なにしてんじゃー!!」
「ぐはっ! り、鈴!?」
「恭介さん……ちょっとショックなのです……」
「の、能美まで……いや、これはな? ちょっとした遊びというか。せっかく呼んでもらえるっていうから」
「恭介……」
「り、理樹……お前なら分かってくれるよな? な?」
「恭介の……ばかああああああああああああああああああ!」
「いっぺん死ねっ! この変態兄貴!!」
「ヴェルカ! ストレルカ! ごーなのですっ」
「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

――あーあ、だから言ったのに……さて、次回ですが。次はちょっと短めに引っ越しあたりのお話を。
   まだまだリトバスのキャラや世界観を描くのになれませんが、書いてて作者が楽しいのでまあいいとしてください。

あ、なおこのあとがきでの恭介はネタですのでかるーく流してください。
あと、呼び方参照にシスプリを調べて使いましたが、見たこともやったこともないのでもしかしたら合ってないかもしれないです。
が、それもするーしちゃってください。
ところで、やっぱり恭介は(21)なんでしょうか? そこだけが気になります。
ではでは〜






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