目 次
序
第一章 正典化の歴史
1.はじめに
2.カノーン(正典)と「新約」
正典/新約/アンティモンタニスト/つけ加えても、削ってもいけない/アンティモンタニストの「新しい契約」
/聖書(Biblia)
3.旧約聖書という矛盾
正典としての旧約聖書/福音書記者にとっての旧約聖書/旧約をめぐるパウロの矛盾/ヨハネ福音書における旧約
聖書/まとめ
4.「異端」から正典がはじまった!
マルキオンが新約正典をはじめた/マルキオン/マルキオン聖書/パウロ書簡集へのマルキオンの序文
5.マルキオン以前の正典的権威?
マルキオンへの批判と正統派教会にとっての権威の基準/主の言葉と四福音書/個々の福音書の流布状態/エイレ
ナイオスと四福音書正典/四福音書の並べ方/書物の形態と四福音書/パウロ書簡集/パウロ書簡集と、再び書物
の形態
6.正典化を促進した諸異端
モンタノス派/グノーシス派
7.正統派教会による新約正典の結集
エイレナイオス/クレメンス(アレクサンドリア)/オリゲネス/テルトゥリアヌス/ムラトリ正典表/ムラトリ
正典表における
正典の基準/結び
補遺1. 新約聖書、使徒的教父、新約偽典
新約聖書/使徒的教父/新約聖書偽典
補遺2. この章の参考文献
新約聖書概論/新約聖書正典化の歴史
補遺3. ムラトリ正典表
翻訳/訳註
補遺4. アタナシオスの第三九復活祭書簡
翻訳
第二章 新約聖書の言語
―新約聖書のすべての文書がギリシャ語で書かれているという事実は何を意味するか―
1.導 入
2.後一世紀のパレスチナの言語
セム語、ヘブライ語などの名称/アラム語/ヘブライ語/初期キリスト教におけるアラム語/参考文献
3.パレスチナにおける帝国支配の言語
帝国の公用語―十字架の捨て札/ギリシャ語/ヘレニズム都市の特色/パレスチナのヘレニズム都市/参考文献/ギリ
シャ語を話すユダヤ人/ディアスポラのユダヤ人/参考文献と註/エルサレムに里帰りしたディアスポラのユダヤ人
4.地中海世界の言語状況
どの民俗も自分の言語を話していた!/リュカオニア/カッパドキア/フリュギア、ガラティア/ミュシア/イサウリ
ア/アンティ-オキア/結論
5.初期キリスト教=ギリシャ語の宗教=都市の宗教
キリスト教=都市の宗教/ダマスコス/アンティオキア、キュレネ、キプロス/アレクサンドリア/アレクサンドリア
のキリスト教の出発点/エフェソス/コリントス/マケドニアの都市/まとめ/参考文献/最初期のキリスト教との落
差
6.新約聖書のギリシャ語
コイネーというあだ名/民衆の、自由な口語?/聖書の口語訳/新約のギリシャ語の特色
7.新約の各著者の言語的特色
マルコ/黙示録/パウロ。教養人の文章語/ヘブライ書、マタイ福音書/ルカ福音書・使徒行伝の著者/ヨハネ福音書
第三章 新約聖書の写本
1.写本の種類
大文字写本/パピルス―最古の写本/7Q5=マルコ福音書の最古の写本?/死海写本についての参考書/小文字写本
/古代訳(ラテン語訳とシリア語訳)/教父の引用/聖句集
2.正文批判について
正文批判とは/正文批判の専門家/読みと読みの確かさ/アパラトゥス
3.ギリシャ語テクストの印刷公刊本
ネストレ/植民地支配のギリシャ語テクスト/印刷公刊本の歴史
4.大文字写本の紹介
B―03.ヴァチカン写本、Codex Vaticanus/Χ―01.シナイ写本、Codex Sinaiticus/A―02.アレクサンドリア写本、
Codex Alexandrinus/C―04.エフラエム写本、Codex Ephraemi/二つのD写本/Θ―038.コリデティ写本、Codex Ko-
ridethi/その他いくつかの写本、
H、L、T、W
5.本文の確定
型/アレクサンドリア型(エジプト型)/西方型/ビザンチン型(コイネー型)/カイサリア型(マルコ福音書)
6.正文批判の実践
異なった型の比較/マルコ福音書の場合の型の比較/内容的な判断/正文批判の二原則
7.正文批判の実例
マタイ13:09/マルコ07:28/マルコ08:34/マルコ01:01―「神の子」の附加
補遺 参考文献
第四章 新約聖書の翻訳
1.どの翻訳を用いるのがよいか
日本語訳より西洋語訳を信用する悪癖/どの翻訳がよいか
2.聖書翻訳の社会的機構
宗教改革と聖書の普及/聖書協会の世界史的役割/聖書に開設は不要というドグマ/「聖書」としての翻訳の問題
3.古代ラテン語訳
ヴルガータとヒエロニムス
4.近代のドイツ語訳
ルター訳/ルター訳の現代版/チューリッヒ聖書
5.近代フランス語訳
オリヴェタンとジュネーヴ聖書/ルイ・スゴン/その他のフランス語訳/エルサレム聖書/TOB―フランス語共
同訳
6.英語訳聖書の歴史
英語訳聖書の出発点―ティンダル/大きな聖書(Great Bible)まで/ジュネーヴ聖書
/司教たちの聖書(Bishops Bible)/とドゥエ・ランス訳(Douai Rheims Version)/欽定訳
/改訂訳(Revised Version,RV)/現代のアメリカの翻訳―RSV/現代のイギリスの翻訳―NEB
/カトリックの英語訳聖書―NABとその序文/NEBの訳文/TEV/ごく最近の英語訳聖書の改訂―女性差別
表現の問題/最近のその他の英語訳聖書/英語訳聖書の出版
7.日本語訳(その1)口語訳聖書まで
参考文献/日本の聖書協会とその翻訳/聖書協会の最初の訳(明治訳、1880)/文語訳の改訂(大正訳、1917)
/口語訳、1954/口語訳聖書の日本語―人称代名詞と敬語
8.日本聖書協会訳と英語訳のつながり
明治訳/明治訳の貢献/大正訳と口語訳
9.日本語訳(その2)カトリック訳から共同訳へ
バルバロ訳/フランシスコ会訳/共同訳聖書の発行/共同訳の訳文/新共同訳/新共同訳の固有名詞表記
10.新共同訳の訳文
マタイ21:28〜31/ヨハネ01:01〜18
11.その他の翻訳
岩波文庫と無教会の訳者/講談社版『聖書の世界』/その他の翻訳/結び
後書き
補遺 欽定訳とそれ以前の英訳の比較 Gospel of Mark 12,13-17
(1)一般事項・人名索引
(2)西洋語索引
(3)新約聖書写本索引
(4)新約聖書引用箇所索引
(5)使徒的教父引用箇所索引