
キャパ その青春 リチャード・ウィーラン 沢木耕太郎訳 文芸春秋 1988
ハンガリーのブダペスト生まれの写真家。本名をエンドレ・フリードマンとい
う。ロバート・キャパという別名が生まれたいきさつがどこまで本当のことが分
からないが、本名で写真を新聞社や雑誌に売りこんでいたかけ出しのころに同じ
く写真家を目指していた恋人ゲルダと相談して(ゲルダの方が熱心だったようだ)
まったく架空のアメリカ人の名カメラマンをでっちあげ、自分たちはこの写真家の代理人のよ
うに振る舞って写真を高額で買わせたのだという。後にそれは芝居をする必要がなくなるとそ
の名が本名のようになる。スペイン市民戦争が始まると共和政府側に寄り添うようにしてキャ
パの名前でこの戦争の実相を伝える報道写真を次々に送り出して世界中に知られるようになっ
た。しかし、この凄惨な内戦をともに取材する中でゲルダを不慮の事故で亡くしてしまう。キ
ャパの青春の喜びと悲しみがいっぱいのスペイン市民戦争だった。