スペイン人民戦争(全集・現代世界文学の発見 3) 學藝書林 1970
1936年2月、スペインの人民戦線政府は合法的な選挙によって選ばれた正
当な政府だった。すでに公然とファシズムの旗を高々とかかげていたドイツとイ
タリアから物資および人的な援助を受けたフランコ一派(ファシスト、王政主義
者、ローマ・カトリック教会の連合)が早くも7月に反政府クーデターを起こす。
このときファシストの暴挙に反対する労働者や作家など多くの人たちが共和政府
側に参加して国際旅団を組織してたたかい、人民戦線とともに敗れ去った。そして3年にもわ
たって国民を苦しみと哀しみのどん底におとしいれた市民戦争と呼ばれるこの内戦の報告がさ
まざまな立場の人たちの手によって書かれた。長い圧政が続いたフランコ時代がようやく終わ
った現在、アフガンやパレスチナ、アフリカ諸国の問題を見聞きするとき、なおこのスペイン
内戦の意味が完全には解明されていないことを思い知らされるのだ。
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