花と空と祈り 新資料 八木重吉詩集 弥生書房 1959
若くして逝った詩人八木重吉(1898-1927)の詩業の定本が出た後で発見され
た詩稿によって編まれた詩集。158ページの小さな本ですが、独特の重吉の世
界がそこにはあります。信仰と生活をひとつに結んで生きるときにこのような声
が、言葉が自然に生まれ出るものかと思わせられます。決して声高ではない信仰
の表白が人の心をうつのは自分を他者とともに(自然をも含めて)創られたもの
のひとつと考えることに徹していたことにあるのではないかと思います。ふと開いたページで
目にとめた一篇の詩がいつまでも忘れられない、そういう詩集です。
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