わが回想 V イリヤ・エレンブルグ 木村浩訳 朝日新聞社 1969
文字どおり激動の時代を生き抜いた一作家の描き出す現代史の一面。そして同
時代をともに生きた人たちの苦闘する姿をを再現する回想録です。スターリン死
後のいわゆる「雪どけ」がエレンブルグをふるいたたせ、社会主義ソヴェトの希
望と悲劇のさまざまな面を多くの人間の生と死を通して明らかにしたのです。現
在、社会主義ソヴェトは消滅してしまったことの意味がこの本からもうかがい知
ることができるような気もします。この巻の大きな部分をしめる侵略者ナチスに対する「大祖
国戦争」の時代の回想は人間のなし得る偉大さをわれわれに知らしめて余りあるものがありま
す。
|