赤岩栄著作集 3(“神を探ねて 他”) 教文館 1971
この巻に収録の著作は1940年代後半に発表された。どの一つの文章を
とっても第2次大戦後の物心両面で徹底的な敗戦の打撃を蒙った日本人の中
にこのように熱烈に再生の可能性を探り、その実践の道をさし示そうとした
人がいたことを証明しています。時には「赤い牧師」などとジャーナリズム
が騒いだこともありましたが、赤岩牧師の目指すところはそんな上すべりの
ものではなかったのです。たしかに現在の世界情勢に照らしてみるとソヴェト連邦を先
頭とする社会主義勢力の目を覆うばかりの後退の現実を赤岩師は予見できなかったかも
知れません。しかし、多くの真面目なキリスト教徒とともに信仰の実践の道を追求した
生涯は現代の預言者のごとき姿にみえてくるのです。この巻の表題になっている「神を
探ねて」は旧約聖書にみる預言書のひびきを持っていて何度も読み返したい文章です。
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