ニーチエ(筑摩世界文学大系 44 “ツァラトゥストラ他”) 筑摩書房 1972
ツァラトゥストラが発した「神は死んだ」という一語がキリスト教徒に与
えた衝撃はそうとう強烈だったらしい。無神論者にしても何らかの影響を受
けたことは確かです。神が死んだというのならば、代わりの神を捜さなけれ
ばならない、それは人間を遙かに超えた存在である必要はない、人間がそれに代われ
ばよい、いや、代わり得るという発想が生まれても不思議はない。ニーチエの説く人
間の精神の強さを、暴力を正当化しようとしたナチスがいいように利用して人類に大
きな災禍をもたらした罪の一端はニーチエにもあるのだろうか?
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