神を待ち望む(シモーヌ・ヴェーユ著作集 W) 春秋社 1967
シモーヌ・ヴェーユはカトリックの神父との書簡の往復を通じて自分の内面を誠実
に見つめ、偽りのない信仰の境地を求めていました。ユダヤ人の家系に属していたこ
とがその追求をいっそう真剣なものにしていたのではないかと思います。他者に対し
てはあれほど同情深く、寛容でさえあった彼女が自分自身に対してはあまりにも厳しくあろうと
したのでした。しかし、最後までキリスト教に改宗することのなかったことの中にむしろ真の信
仰者の姿を見る思いがするのですが、………。
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