ペギー(ロマン・ロラン全集 16) みすず書房 1980
思想においても信念においても異なる地平に立つ二人の人間が固く結ばれるということがあり
得るし、そうであってこそ精神の独立、個人の尊重ということが現実のものとなると教えられ
ます。ロランはペギーより七歳年長でしたが、ともに一九世紀末から二〇世紀初頭のいわゆる
帝国主義の真昼の時代を生きました。そして、ペギーは第一次大戦の初期に自らの信念に基づいて戦場に
赴き戦死しました。ペギーの生涯とその思想の真実を克明につづったこの書は六百頁にもおよぶ大著で読
み通すのに骨が折れますが、ペギーとロランとの交わりの性質から、ロラン自身の思想をもうかがうこと
ができます。名作「ジャン・クリストフ」はペギーの刊行した雑誌「カイエ・ド・ラ・キャンゼーヌ」に
掲載されました。
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