書簡 X(ロマン・ロラン全集 37) みすず書房 1983
ロマン・ロランが知人、友人その他親しい人々に書いた書簡は膨大な数にのぼりま
す。この巻の前半分は劇作家であり小説家でもあったジャン・リシャール・ブロック
との往復書簡ですが、しかしそれは限られた時期のものでこの優れた二人の文学者の
交流の全貌はまだ公開されていないと言われます。ここに収載された第一次世界大戦
前夜の1910年から大戦終結の1918年までの往復書簡を読むと戦線で死と向き合う人々
の英雄的な行動に同情を抱きつつも、憎しみと殺戮の中へ人をかりたてる力に対して
厳しい拒否を示し、戦後のヨーロッパの精神の復興を切実に求める姿を見ることができます。
エルザ・ヴォルフという作家がいました。ロマン・ロランより10歳年下のユダヤ系ドイツ人女性で
ロランにその才能を高く評価されていました。この本の後半部分はこの女性に宛てた書簡集です。彼女
は1942年ナチスの強制収容所送りを拒んで自殺しました。その兄弟は強制収容所から帰ることがありま
せんでした。

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