近松門左衛門集 下(日本古典全書) 朝日新聞社 1967(1952初版)
歌舞伎の題材にもなっている近松の作品、むろん、もとは浄瑠璃のバックミュージ
ックに合わせて人形を操る人形劇の台本でした。やはり、読むよりも浄瑠璃を耳で聞
く方がその味わいが深いものです。近松の作品には日本や中国の古来の言い伝えや諺、
古典の中から人々のよく知っている言葉や文章をを随所にちりばめて聴衆、または観
衆を楽しませるシカケを施してあります。
「なむ三宝べにが流るゝ」という台詞で知られる「国姓爺合戦」は中国明の末期、
日本に亡命した明朝の重臣が日本人女性との間に男子をもうけ、その名を和藤内(和
でもなく唐でもない)名付け、父子ともに大陸に渡って明朝復興に尽くすという大ス
ペクタクルな筋立てで、しかも国際的な人間絵巻が繰り広げられるところは当時空前
の大当たりを取ったのもうなづけます。
