シンポジウム 差別の精神史序説 三省堂 1978(1977初)

異なった分野の九人が日本の社会における差別の問題をテーマに論じ合った記録。現
代の日本の社会で差別を考えるということは、人々の生活の中で差別が発生し、固定し
てゆくことの複雑な経過がいかに理解の困難な問題であるかを考えさせられます。ここ
で名の出ている人で私などがよく知っているのは井上ひさしさんと、別役実さんくらい
のもので、その他の六人の学者の方々はさぞ業績のある人たちでしょうがまったく知ら
ない名前です。差別の発生の考察から差別を現代にまで引きずってきた我々の社会とい
うものの性質まで歴史的に深く考えさせられます。しかし、たとえば差別ということを
言う時我々が思い浮かべるのは被差別部落の問題なわけですが、この本を読んでいくと、
論じている人々が差別の問題を直接自身に関わるような差し迫ったものでないような発
言がかなり多いのが気になります。