
ロシヤは誰に住みよいか ネクラーソフ 谷 耕平訳 岩波文庫 1961
19世紀ロシヤには偉大な詩人が何人も現れた。最も偉大なプーシキンが精神の独立
と人間生得の自由を称え、詩作においても生活においてもそれを実践したことは彼の後
に続く詩人や作家たちをそれ以外の道を認めさせないほど深い影響を与えた。ネクラー
ソフもまたその大きな流れを導く存在であった。ほとんど政治的欺瞞に近かった農奴解
放令が何百万という農民をどん底の生活に陥れている現実に対して詩人は農民に対する
限りない同情と、権力者や地主などの特権階級に対する怒りを書きつづってこの国の行
くべき道を指し示そうとしたのであった。
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