
心に迫るパウロの言葉 曾野綾子 新潮文庫 1986
聖書の言葉から自分の生き方を検証してみるということはキリスト教徒がいつも心が
けることではある。しかし、やはり誰もが人の子、何ごとも自分の都合のよい解釈を施
して生きているのが現実である。そうした弱さをこの著者は自分自身の弱さをさらけ出
すことで私たちに思い知らせてくれる。そして、それが私たちを打ちのめす内なる暗い
ものから導き出してくれるのである。パウロが自らの強さよりも弱さこそが自分にとっ
て大切なものであると告白していることについての一文が考えさせられる。
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