
戦いを超えて ロマン・ロラン全集 18 みすず書房 1982
第1次世界大戦が始まるとロランはいち早く交戦諸国の知識人や活動家に向かって戦
争反対の表明をするよう求めた。それは、悪意ある勢力のさまざまな策略のために嘲笑
をもって迎えられることになった。ロラン自身も祖国を去りジュネーブで国際赤十字の
中で戦争の犠牲者のために働くことになる。その間も膨大な文書を発表して平和の実現
を訴え続けた。それらの訴えが今も我々に切実なことは、裏返せばその後さらに苛酷な
惨状を呈した第2次大戦を経てなお真の平和が実現していないことを証明しているので
ある。
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