
合気道開祖植芝盛平 砂泊兼基 講談社 1969
植芝盛平という人は一種の超人であった。宇宙の気が体内に充満するのを実感した
といわれる。合気道の技を習うときに体の動き、吸う息、吐く息のすべてが天然自然
の姿に戻るように感じられるのは確かである。
この合気道は幕末近くの会津藩で英知を結集してあみ出された総合武術である大東流
と呼ばれるものが源流と言われるが、開祖盛平翁が長年の創意工夫をこらして近代的
な合理的武術としての合気道を完成された。日頃の生活を宇宙の気に合わせ人との和
を最も大切にする開祖の思想がその根幹となっている。本当に偉大な人間を描くのに
人間離れのした伝説的なお話をごてごてと書きたてるとかえってその価値を損なうこ
とが多い。この本の場合にもその傾向があるのは残念というほかない。
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