
ロシア文学史 大泉黒石 講談社学術文庫 1989
大泉黒石(1893−1957)ロシア人を父とする。先年亡くなった性格俳優大泉滉はこの
人の子である。
著者も言っているようにこの本ではロシアの古い口伝・口承文学の時代から近代文学
の入口にさしかかる部分までの叙述である。ロシア近代文学のさきがけであるプーシキ
ン、レールモントフ、コリツォフのあたりまで触れている。後日この続編も書かれる予
定に入っていたらしいが実現しなかった。ロシア文学の根底に民衆の口伝、歌謡の豊富
な言葉の表現がどれだけ大きな栄養となっているかを示す古い「英雄譚」などが多く紹
介されている。
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