
フロイス 日本史 1 松田毅一・川崎桃太訳 中央公論社 1977
ルイス・フロイス(1532−1597)はポルトガル・リスボン生まれ。イエズス会宣教師
として1563年に来日して以来三十数年を日本に滞在した。1597年、長崎で息を引き取っ
た。フロイスがもっぱら「日本史」の執筆にかかるように命じられた1583年は前年に最
大の庇護者とみられた織田信長が謀反のために仆れ、野心家秀吉が権力を奪うという事
件があった。秀吉の反キリスト教政策が明らかになってゆく中で「日本史」、数十年に
わたる日本宣教のあいだに起こった日本社会のさまざまな事柄を克明に記録したのはた
いへんな情熱である。当然のことながらそれは十六世紀の日本の実情を知る貴重な記録
となった。
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