
日訳・注解 聖クラーン(イスラーム経典) 世界イスラーム連盟 1973
「コーラン」はイスラム教の聖典のことだと誰でも知っていると言えるが、正しくは
クラーンと発音するのだということをこの書物を読んではじめて知った。通称コーラン
の翻訳は戦前の大川周明(大アジア主義の鼓吹者として大きな影響力があった。また第
二次大戦戦後は極東軍事裁判のA級戦犯被告となった。)の訳があり、戦後には岩波文
庫に別の訳者で完訳が出ているのでわれわれはイスラムの聖典を日本語で全文を読むこ
とができる。岩波版は訳の文体がこなれた口語体で読みやすいように思う。一言でいう
ならイスラームの教えは人間解放の精神を太い柱としているものである。貧しい者、女
性など差別を受ける者の側に立っているのであるが、現代の錯綜する国際状態の中では
どのような影響をおよぼしていくのであろうか。
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