
白夜・初恋 他 ドストエーフスキイ全集2 米川正夫訳 河出書房新社 1960
作家の初期の作品は都会の下積み生活を余儀なくされる人々を描写した偉大なリ
アリズム作家であり、近代小説の先駆者であるゴーゴリの影響を濃くする。中でも
「いやな話」がもっともその色彩が強い。「白夜」「初恋」といった一種のファン
タジーの雰囲気を持つ作品はベリンスキーに激しく批難されたものであるが、ドス
トエフスキイの後の大作の中にも見られる作家のもう一つの面である。もっとも、
シベリア流刑後の作品の中ではその質は一変してしまうのであるが。
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