
ドゥホボール教徒の話 木村 毅 恒文社 1980 初1979
トルストイが書きかけのまま長く放置していた小説「復活」を完成させ、その原
稿料をドゥホボール教徒たちのカナダ移住のための資金として贈ったという事実を
この本で知った。ドゥホボール教徒とトルストイとの関係については早くから伝え
られていたらしいが、この本では帝政ロシアの国教と言っていい東方正教会の下、
一八世紀半ばごろにカフカースの一地方に生まれたドゥホボールという絶対非暴力
の教派が激しい弾圧を避けてカナダに移住するまでの詳細な事情が書かれている。
著者はこれを畢生の著作と自ら位置づけ、世界平和を希求する自らの憲法の精神を
危うくしようとする現在の日本人の多くに読まれることを願っている。この本が最
初に出版されたのは1965年のことである。
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