
藤村全集 1(若菜集 一葉舟 落梅集) 筑摩書房 1966
島崎藤村(1972−1942)
藤村の最初の詩集「若菜集が世に出たのは明治30年(1897)のことであった。ヨ
ーロッパは世紀末の頽廃と言われる政治も芸術も混沌としていた時であったが、藤村
によって新しい近代詩の始まりを告げた文学運動はまさに清新の気にあふれていた。
そうして、ついこの間まで藤村の詩をひそかに暗唱する若い世代が存在していたので
ある。信州を旅するとき、その風物に触れてふいに藤村の詩を思い浮かべる人も少な
くないであろう。
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