
続日本紀 五(新日本古典文学大系 16) 岩波書店 1998
平城京を都とした奈良時代および平安京初期の天皇の治績を記録するかたちで書か
れた官製の歴史書である。この全集では全五巻構成になっている。原文は漢文で書か
れているため本文と読み下し分とが見開きで読むようになっている。一方に天皇を頂
点とする権力者たちの血みどろの謀略や陥穽があって読者の想像をかき立てる。その
一方では何次にもわたる蝦夷征服の動員と人民の苦しみが手に取るように見えてくる。
また、再開された遣唐使の渡海がいかに困難な事業であったかがその帰途の難船によ
って生還がかなわなかった人たちの記録によってうかがわれるのである。
|