
古文真宝選新解 星川清孝 明治書院 1977初版1956
若き日の吉田松陰が北陸を旅した時に懐に入れていた一冊がこの古文真宝であった、
とその紀行の一節に書いていたように記憶している。この本は大部のもので当時の書
籍の形態ではおそらく何十冊にもなる和本だっただろうからそのうちの一冊だったに
ちがいない。あるいは精選のようなもので一冊本がなかったとは言えないからその点
はいろいろ想像するほかない。ともあれ、中国宋代に成ったといわれるこの本は日本
でも古くから読まれていた。古来伝わるさまざまなジャンルの名文や名詩を編集した
ものである。われわれが漢文を学び楽しむ最良の本の一つなのである。
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