
フォークナー全集 14 野生の棕櫚 冨山房 1968
フォークナーの小説は構成が複雑で読みはじめはなかなか取り付きにくいけれ
ども、ストーリーの中の人物たちや周りの環境に馴染むようになると今度は時間
を忘れて読みふけってしまうといったところがある。しかし、この小説は二つの
ストーリーが交互に現れてくるのでやっかいである。一方の展開を追ってその面
白さに惹き込まれて夢中で読んでいると突然その話は一応ここで中断、という具
合で結末に向かっているのではなく、ぐるぐると旋回してとんでもないところへ
連れていかれるのではないかと、読むのを止めようかと、そんな気分になったり
するのである。しかし、そんなことは出来るはずがない。すごい小説なのだ。
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